複雑で膨大な記録を確実に残すためにはITシステムが重要なことは言うまでもありません。 しかしシステムを構築すればすべて解決するというのは本末転倒です。 日常業務には常に例外的事象があり、これらもシステムに乗せようとすると膨大なシステムになりますし、逆に例外を認めない活動はビジネスが硬直的になって現時的ではありません。 つまり、現実のビジネスとシステムとの有機的な融合ができていることが最適な環境ということになりますが、SOX法の立場から見ると大変厄介な点があります。 人間の判断力は複雑な事象になればなるほど威力を発揮しますし、新しい事態への対処もシステムより人間のほうが柔軟にできます。 内部統制という観点からみると逆に人間の判断ほど不確実でしかも明確な証拠が残らないという弱点があります。 組織が大きくなり、多くの人が介在するようになると統一性を保つためにはどうしてもシステムの力を借りることになります。 零細企業には存在しない間接部門という組織が大企業には必ず存在するのとある意味では似ているのかもしれません。 零細企業から大企業までを規模別に横並びにすると、大きなくくりでは間接部門の有効性が認められるグループと、無いほうが効率的なグループに分かれますが、その分かれ目は非常にあいまいで、明確に定義することは困難です。 システムも似たような性格がありますので、個別に慎重に何をどこまでシステム化するのか、そして定期的なモニタリングによってその有効性を判断する必要があります。
SOX法対応のシステムもまったく同様ですから、ITシステムを導入すればSOX法対応が完了すると考えるのは大変危険です。 各企業の状況に応じ、また現状システムをどのように利用するのかを十分に検討することをお勧めしています。

