“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

定期的に尖った主張、疑問、提案をお届けします

回はAさんとBさんの例を出しましたが、早く達成したAさんの評価が《平均的》ということに違和感がある方もいると思いますので、もう少し詳しく検討してみましょう。

ここで重要なのはAさんとBさんに知識や経験の差があるということです。 つまりAさんの方が“いわゆるできる人”だということです。 知識・経験・アイデア・スピード・リーダーシップ等を総合的に判断した結果ですが、各自に差があることは自然です。 Aさんは先ほどの3ヶ月で達成できる仕事以外にもう少し複雑で困難の伴う仕事も十分にこなせるし、そのような目標も与えられることでしょう。 一方、Bさんの場合はまだ困難の伴う業務の主担当にはやや時期尚早ということです

このように各個人の立場の違いは基礎的な処遇に反映されるべきで、上記の例で言えば次のようになります

Aさん 基礎的処遇:120 仕事の評価:100  総合:120

Bさん 基礎的処遇:90  仕事の評価:120  総合:108

ここで注意しなければならないのは基礎的処遇という考え方で、それぞれの仕事遂行能力であって人物評価ではないということです。 Xという業務ではAさんは基礎的処遇は120でも、Yという業務では90かもしてませんし、140かもしれません

従って、マネジャーの役割は仕事の見積もり(どの程度の困難さがあるのか)と、メンバー各自の遂行能力(基礎的処遇)を正確に把握し、且つ、各メンバーと話し合い合意を得ること、さらに年間の業務計画に適切に組み込むことが必要です。 さらに条件の変化や困難に直面した時の側面援助やメンバーの組み替え、最終的には直接支援によって年間の事業計画を達成できるようにしなければなりません

このようなことが達成できて、初めて適切な目標管理ができ達成度が計れるわけです。

皆さんのまわりではこのようなことができているでしょうか、あるいはメネジャーの方はこのような業務の割り振りと進捗管理ができているでしょうか

これに関連してもう一つ考えなければならないのは、同一名称のポジションの基礎的な処遇は同じかどうかということです。 例えば営業支店が日本全国に15店あったとします

東京の売り上げを100とすると

大阪=70

名古屋、福岡=50

広島、仙台=30

だったとすると、同じ《営業所長》であっても基礎的処遇は同じで良いのでしょうか? 広島支店長から大阪支店長になるのは昇進と考えられますが処遇は同じで良いのでしょうか?

東京をAクラス

大阪をBクラス

その他をCクラスとすると同じ《営業所長》でも処遇の差がありますので上記の例のように広島から大阪への転勤は“名実ともに昇進”となります

本社の部長と子会社の部長等々、同じ名前であっても責任の重さが違えば、基礎的処遇も異なって当然ですし、それによって昇進の機会が増えるし、明示的になります。 客観的な評価を実施しようとするとこのように組織のあり方も見直さなくてはなりません

次回はポジションのレベル設定と各自の目標設定について考えてみます。 営業は簡単だけど間接部門の客観的目標は難しいという声を聞きますが、実際には営業での客観的目標設定は難しいということも考えてみます