Black Lives Matter
またしても訳語の話ですが、Black Lives Matterが「黒人の命は大切だ」という
日本語訳と英語のニュアンスがかなり違うように感じます
訳の「黒人の命は大切だ」というのは標語のように感じて誰が主体的に何をしよう
としているのかが不明確です。日本語そのものが持つ曖昧さと言うことなのかも
しれませんが、原文の語感にはもっと強い「個人の意思」が入っています
「黒人の命も自分のことと同じだ」であれば少し良いし「黒人の命(を大切にする
こと)をとても気にしている、問題と思っている」という自分の意思が反映される
ことが大切です
問われているのは、このような事態に対し「あなたはどう感じ、どう行動しようと
しているのか」というニュアンスがあります
だから、街頭へ出てデモをして態度で表現しているのです
人種差別を禁じた『公民権法』の成立は1964年、東京オリンピックの年です
陸上男子100メートルでは『褐色の弾丸ボブ・ヘイズ』が優勝しました
次のメキシコオリンピックでは陸上男子200メートルの優勝者が表彰式で抗議の
意思表示をしました
公民権法成立から56年経過しましたが、社会の変化はゆっくりとしか進んでいない
という現実の中での事件だという認識が必要です
このような主体的な意思表示が標語のような訳語からは抜けてしまっていますので
場合によってはデモでの表現そのものに対する疑問になってしまいます
欧米に限らず、アジアでもアフリカでも常に個人の態度表明を迫られる機会が
多くあり、日本が本当に国際化するのであれば言葉の問題ではなく、もっと内心の
意見、意思の発信が求められているのです
個人の意見、その集合体としての集団の意見が明確でないと共感を得ることが
できないばかりでなく信頼を勝ち取ることはできません
生きると言うことは常に真剣勝負だと言うことを忘れないようにしましょう