その162         2018/6/25に掲載

日中露とかけて今を楽しむと解く


心は『無力感』


一定の経済規模がある世界中の国で政治への若者の参加が少ないのは日中露です

特徴は強固な官僚主義国家であることです


アラブの春も東南アジアでの政変の主役も、また前回の大統領選挙での民主党予備選

サンダース候補の支持者の多くは若者、ヨーロッパでも街頭デモには多数の若者が

参加していますが、いずれも官僚組織は必ずしも強くないことがわかります


「世界で最も成功した共産主義体制」ともいわれる日本も御多分に洩れず江戸時代

からしっかりした官僚組織ができています


もっとも一般に言われることと異なり、江戸時代の官僚組織は年功序列ではなく

実力主義であったことです


「老中」という文字から老人を想像しますが実際は実力者が抜擢されることが多く

阿部正弘の老中就任は25歳、老中首座26歳、堀田正睦も30歳で老中、そして

安政大地震後に45歳で再任され老中首座となりました


しっかりした官僚体制で体制を維持したものの、若手の抜擢で政治の改革を

積極的に実施していたことがわかりますし、国の将来に対する不安が増した幕末には

坂本龍馬の海援隊や高杉晋作の長州奇兵隊という体制を揺るがすような動きも若者

故に出てきたのです


さて、世界情勢が大きく動き始めた現代ではどうなのでしょうか

残念ながら日本では若者からのうねりはなく、表面的には政治無関心に見えます

これからの激動の世界を生き抜かなくてはならない若者の主張が見えないのは

残念でなりません 

その161         2018/6/18に掲載

アベノミクスを検証する


最近はアベノミクスという言葉も聞かれませんが、5年前に始まったアベノミクスは

結局どうなったのでしょうか?


結論から言えば、何も成果を産んでいないのではないでしょうか


一見、株価はある程度の水準に達し物価やGDPも何とか0.5〜1.0とプラスに

なっていますが、賃金は上がらず生活保護対象世帯は過去最高水準になっています

何故かと言えば、世界経済の回復と数字のマジックなのです

株価で言えば政府系ファンドを通じた日銀の介入で日経平均は2,000円ほど高いと

言われています


また、最近の世界経済の回復により海外での企業収益力は増加していて、日系企業の

海外子会社もその恩恵にあずかっています

さらに、円安でドル建てやユーロ建ての海外での利益は円表示ではかさ上げされて

いますが、国内での収益力はそれほど大きくありませんので国内の社員に円で

支払う給与は増やせないのです


さて、アベノミクスに戻りますが20132月にこのように言いました


三本の矢は順番が違うと言うこと


まず、産業政策示し、それに必要な財政出動があり、資金面からのバックアップと

して大胆な金融緩和が来る。このように道筋が明確であれば日銀も政策手段を選択

しやすく、また結果に対する責任と言うことも言えるでしょうが、金融緩和のみで

デフレを脱却し、その責任を日銀にとらせると言うのは政治家の責任逃れに過ぎ

ないのではないでしょうか


また201511月にはこのように指摘もしました


そもそも、10兆円の需要不足があるのが不況、デフレの原因と言われてきました

ので順番としては需要創出、過剰供給の解消があって需給バランスが逼迫すれば

自然とインフレ傾向となる、つまりデマンドプル型のデフレ脱却となります

需要不足の中で金融緩和をしても、投資は増えず余剰資金は止むを得ず国債と

株式市場に流れ、株高と金利の低下をもたらすものの設備稼働率上昇は輸出の

増加分のみで国内への還元は少ないのです。それでも物価上昇すれば


コストプッシュ型の見かけのデフレ脱却で、早晩景気は下振れてしまいます


どうもアベノミクスは国内需要増加という好循環を生み出してはいないようで一部の

富裕層にバブル的な余剰資産を与えただけのようです


マスコミも経済評論家ももっとしっかりとした立ち位置で現状分析と批評をすべきで

そのことで健全な議論のベースができるのですが、無気力、無風状態になって

しまいました 

その160         2018/6/11に掲載

農業国アメリカ

開発途上国の問題の多くは産業を第一次産品に頼っていることです

市場での競争力や流通の力関係でどうしても不利な立場に陥り、しかも価格変動に

左右されてしまいます

唯一の例外がOPECという強力な組織と1970年代の衝撃的な石油戦略でセブン

シスターズ(国際石油大手)から価格決定の主導権を取り戻した石油産業です


ここでアメリカの産業を見て見ましょう


米中貿易対話でも明確ですがアメリカの主要輸出品は大豆や牛肉を始めとする

農産物で逆に輸入品は工業製品です。

一方で石油に関してはシェールオイルによってOPECに対する対抗策を持ち、今や

世界最大の産油国でもあり輸出余力もありますが、資源という面で見ればやはり

第一次産業なのです


農業を始めとした第一次産業への過度で短期的な依存は長期的な国力の低下を招き

かねません


今回突然発表された自動車に対する高率関税を見ても、長期的には国内自動車産業

保護というより技術力の低下、ひいては競争力の低下を招くことになり、かつて

経験した鉄鋼や家電の二の舞となります


大きな国内市場を持つ米国企業は輸出に対するインセンティブが高くありません

国内で利益が上げられれば十分ということもあって、海外で多様なニーズに対応

しながら競争するという発想が少なく、一たび輸入品との競争にさらされると

価格、品質、機能面で弱さをさらけ出し、収益力が低下するとプロ経営者の

判断で技術への投資をするよりも市場から撤退して資本を他の収益力の高い分野に

向けてしまいます


195060年代に競争力の低下と石炭や鉄鋼産業の衰退で苦しんだ英国は、金融と

音楽を始めとする芸術産業に活路を求め、自由貿易を保持することで低い食料

自給率を補っています


同様に低い食料自給率国である日本は大きな戦略として自由貿易によるエネルギーと

食料の確保が重要で、この点でアメリカとは基本戦略が異なります


日米関係は重要ですが、地政学の観点も踏まえ、中国の台頭という現実を見極め

もっと大きな戦略に基づいた日本の行動が求められます

その159         2018/6/4に掲載

北朝鮮に1ポイント

米朝会談を前に駆け引きが行われていますが、ほとんどの論調がアメリカあるいは

日本からの観点でなされています


六カ国協議が中断してから北朝鮮の主張は米朝直接会談でしたが、ブッシュ政権

以来アメリカ側は拒否しています。あくまでも六カ国協議で交渉すべきだと

これを踏まえて北朝鮮から見ると今回米朝直接会談が実施される方向で協議が進んで

いるということは第一段階では北朝鮮の主張が通ったということになり1ポイント


そもそも核とミサイルは何のためと考えるとアメリカを交渉の場に引き出すため

の手段と言えますので、実際にこれらを使用する軍事的メリットはありません

それだからこそ、アメリカ本土に届くミサイルが重要なのです


トランプの脅しに屈したから交渉へと軟化した、あるいは6月12日の会談を中止

すると脅かしたらすぐに謝ってきたと考えるよりは水面下での交渉が継続している

と見る方が妥当で、すでに次の目標に向かっているのではないでしょうか


米朝直接会談の結果として期待しているのは休戦協定から平和条約への転換でしょう

つまり体制維持の保証が最大の目的になります


スイスでの生活体験のある金正恩にとって北の経済発展は必然でしょう

中国の例を見ても西欧型民主主義でない経済発展の成功モデルがあるわけで

将来的な南北融和あるいは統一に際しての重要なカードは経済力です


因みに中国の経済モデルの基は日本の経済企画庁(現:経産省)と金融機関による

複合的な経済統制モデルで、市場経済モデルと見間違う巧妙な官僚主導形態です


核とミサイルを放棄しても体制維持ができれば資金を経済発展に、さらに韓国や

日本からの資金援助も見込めますので次のステップが見えてきます


流れで考えると北から見る限り今ところ予定通りで既に1ポイントをゲット


外交交渉の経験がなく、しかも国務省スタッフを活用するのでもなくスタンドプレー

の得意なトランプ大統領自尊心をうまくくすぐり、また中間選挙前の状況を上手に

利用しているように見えます


順調にいけば、次のステップは韓国や日本から最大限の資金援助を引き出すこと

自国の資金を使いたくないアメリカの圧力も考えると日本は相当に覚悟をする

必要がありそうですし、すでに6月2日にトランプ大統領自らこのような発言をして

います


このようなシナリオを認識し、対策を考えている政治家がいるのか心配になります

その158         2018/5/28に掲載

融資から投資へ


政府の宣伝にもかかわらず個人が貯蓄から投資へ態度を変えるのは時間もかかり

ますし、これまでのイナーシャを変えることは大変困難です


しかし銀行が態度を融資から投資へ変えることは可能です


低金利の時代に利ザヤが稼げないので銀行こそ経営方針を変えるべきです

金融機関が融資でなく投資になれば、投資判断の手法や基準が示され、結果的に

個人も貯蓄から投資への転換を促すことになります


超低金利ということで安易に、みんなが揃って賃貸住宅への融資に貸し込むことで

過剰融資になりつつありますし、収益性の低い物件への融資で借主のリスクも増大

しています

安易に賃貸住宅への融資に貸し込むことでなく、ビジネスを支援するような投資に

もっと目を向けるべきです


短期的な見かけの収益性と知識に乏しい地主への賃貸住宅過剰貸し込みは将来の

バブル危機を産むのみで、結局消費者(借り手)が負担を強いられる結果になります

投資に消極的で、知識や経験のない人に対し『土地の有効活用』という言い方で

実際にはリスクの高い長期投資、しかも撤退が難しい案件への勧誘はある意味

犯罪的でもあります


借り手の借金は残りますが、金融機関の経営者は交代して食い逃げ、バブル崩壊時

にはその時点での経営者が貧乏くじを引く羽目になり『いつか見た悪夢』そのもの

です


地主に投資の知識や経験があれば乗降客の少ない郊外の駅から徒歩15分の場所への

賃貸物件がどれほどのリスクを持っているのかは判断できるでしょうが、これまで

大きな投資をしたことのない方にとっては銀行の勧めは『絶対的な信頼』によって

魅力的に映ります


冷静な判断が求められますが、知識経験の不足から自ら適切な解が得られず外部の

アドバイスを鵜呑みにする可能性が高くなってしまいます


それを防ぐには豊富な知識経験が必要という悪循環の中にはまり込んでしまって

います


横並びでないアイデアと経営者の自覚と決断が求められます

その157         2018/5/21に掲載

翻訳と文化


明治以来長く高等教育では『原書に当たれ』と言われ学生は懸命に英語、ドイツ語

フランス語を学びながら学問を習得していましたが、戦後になって翻訳書が一般に

出回るようになるといつの間にか海外の学説も日本語で勉強することになりました

このこと自体は良いことですが、一つだけ欠点があります


それは翻訳はあくまでも翻訳であって原書の持つニュアンスや文化的な背景まで

本当に訳されているかどうかという疑問が残ることです


言葉は話されている地域の文化が反映されていますので翻訳した時に文化的背景が

100%伝わるかどうか、あるいは十分な翻訳がなされていても読む側に他国の

文化的背景の知識がなければ理解は完全ではありません


ここでいくつかの例を出して見ます


AccountabilityIntegrityです

一般的にAccountabilityは『説明責任』と訳されています

Accountabilityは結果責任ということで既に結果が現れているため説明ができる状況

ですから、結果に対しての責任の所在を明確にするという意味が強くなります

『説明責任』という翻訳では責任の所在という概念が薄く感じられます


もう一つの例はIntegrityで、『誠実性』と訳されています

英語の辞書によればThe quality of being honest and having strong moral principles 

と書いてあり『強い道徳的原則に則った質の高い誠実さ』となり、単なる『誠実な』

というより強い内容であることがわかります


欧米の社会では『Integrityのない人だ』という表現は単に誠実でないというより強い

意味があり『人として信用できない』という不名誉なことになります


この二つの言葉に限りませんが、背景にあるのはキリスト教です

神に対する責任であり、神との契約の遵守ができているのかということであり、単に

約束した相手や利害関係にある人たちとの約束や誠実さではなく、あくまでも神の前

で誓約できるか、説明できるかということが背景にあります


日本語になった途端にこのような背景にある文化的側面が抜け落ちてしまいますので

なんとなく違和感が残るのでしょう


日本でも『お天道様に対して』という表現がありますが最近の状況はどうでしょうか

社会全体にこのような規範が薄まってしまっているのではないでしょうか


日大のフットボールの件ではまさに『Accountability』が必要なのですが、何が

あったのかという事実とその責任が明確になっていません


社会が社会として成り立つのは法律による規制ではなく個人それぞれが持つ社会規範

を守るということが基本になります 

その156         2018/5/14に掲載

ロボコンの功罪

一昔前からロボコンが毎年のように開かれ、大学生だけでなく高校生の間でも

実施されていて大いに盛り上がっています

技術に興味を持ち、ものづくりの楽しさを味わうという意味では大変な貢献ですが

一方で創造性という観点から見るとマイナス面もあります


ロボコンの初期にはどのような形にするのか、スピードは、強度は、正確性はと

考えなければならないことが多く、様々なやり方が試みられ、あえなく失敗という

ことも多々ありましたが、チャレンジという意味では大きな意義があったのでは

ないでしょうか


しかし、毎年継続することで徐々に成功例に発想が収斂してしまい、その後は

精度を上げる競争になってしまいます


そもそも、ロボコンは何故できたのでしょうか?


DARPADefense Advanced Research Projects Agency)が主催している競技会が

出発点で、火星着陸船の風船のようなボールを使った着陸装置や、今盛んになって

いる自動運転技術もDARPAの競技会が出発点です


米国国防省の予算で将来的な軍事利用技術の開発に民間の知恵を使おうということで


4階の屋上から生卵を割れないように落とす方法が火星着陸船になり

市街地を障害物を避けながら走る技術が自動運転につながっているのです


Googleに買収され、その後ソフトバンクグループに再度買収された東大ベンチャー

SCHAFTDARPAの二本足ロボット競技会で注目された企業です


このようにDARPAでは短期間にその時のニーズに合わせてテーマを設定し、広く

参加者を募った協議会を開催し多額の賞金を出してアイデアとその実現に取り組んで

いますので、テーマごとに常に新しい発想を求められているのです


これに比べて日本のロボコンは精度こそ上がりますが何年にも亘って同じテーマ

ですから発想の転換は限られてしまいます

しかし物事を精緻に作るという意味では日本人に向いているので、人気が衰えません


同時に革新的なアイデアを出すという発想力では遅れをとってしまうのです


これからのグローバルな競争、パラダイム転換を乗り切るためには発想力が

とても大切になります 

その155         2018/5/7に掲載

北朝鮮問題を考える


あまり議論されてはいませんが本当の課題は3つあります


*南北統一

*軍掌握

*中距離ミサイル

南北両国にとって最終目的は統一ですが、可能性は三つ形態しかありません


@ 北による南併合、A 南による北併合、B 連邦制

金正恩狙いが体制維持にあるとすればAもBもあり得ません。南北自由往来が

実現すれば東ドイツのホーネッカーやルーマニアのチャウセスク悪夢が待ち受けている

からです

@の北から統一も米韓の反応を考えるとあり得ないので問題は解決策が今

ところ考えられません


次に今回和平への動きは金正恩が軍を完全に掌握しているから出来たと考えると

交渉余地は出てきたといえます。これまでは軍指導部意向を無視すると

クーデター可能性もあったために強硬路線を採っていたとも考えられるので

今回の動きは軍の完全掌握ができた為と解釈すれば今後の動きにも多少の希望は

持てます


さて、ミサイルについてはどちら方向にも撃てることを忘れてはなりません

中距離ミサイルは日本を狙うというより中国に対する威嚇とも考えられます


現状で北に対して武力による実力行使できるはアメリカと中国で、実際

中国はクーデターを企てたことがあります


対抗策としてアメリカに対しては核弾頭とICBM、中国に対しては中距離ミサイル

と考えると納得ができるではないでしょうか


武力衝突が起きれば北崩壊は不可避ですが米中とも北対抗策による犠牲を払って

まで実行する意味は少なくなります


国際社会圧力で北が軟化と言われますが、実際に圧力をかけたは北でアメリカを

交渉場に引き出したとい意味では成功したではないでしょうか


さて、これからはどうなるのでしょう?


北にとって日本は金づるであるという認識を持ち、大きな構想で戦略立案が求め

られます

その154         2018/4/30に掲載

団塊の世代と大学闘争


大学紛争ではなく敢えて『大学闘争』としたのは本質を逃さないためです


1968年の大学闘争は東大医学部の『処分撤回運動』が発端です

ある事件によって学生が処分されましたが、事実認定に誤りがあり大学側もその誤り

を認めたのですが、処分は撤回されませんでした

これに対して処分撤回を求めたことから大きな運動になり、結局教授会の権威に

対する不信感、学問の進歩に対する疑問へと広がっていったのです


新しい学説を基にしてスポンサーからの援助を得て新しい講座が開ける欧米と異なり

日本では確定した講座をめぐるポスト争いなので、学説の独自性や優位性よりも先任

教授に対する従順性が優先され、学問の進歩が妨げられることもあります


またそのことにより教授の権限が強く、結果的に『教授のお気に入りしか次の教授

になれない』という学問の進歩を否定するような制度に対する疑問が生じたのです


学問のみでなく社会全体に普遍的に当てはまる疑問で、学生全体の共感を得たため

他学部にまで広がる学生運動になりました


その後、この動きに便乗して勢力拡大を狙った社会党、共産党系の外部団体が介入し

全共闘運動として『大学紛争』へと変質してしまったのです


教授の実績を超える実績を上げた人への評価と活躍の場をどのようにして与えるか

ということが本質で、似たような学生運動のあったフランスではド・ゴールが本質を

的確に捉えParticipationといって若干30歳台半ばの文部大臣を任命し大学の大改革を

実施しました。 わかりやすいところではエリート校であったソルボンヌ大学は

なくなり今ではパリ第3大学と呼ばれ、バカロレアに受かった学生はフランス全土

どこでも好きな大学に入れるようになったのです


日本の場合は何の改革もないままに今に至り、アカデミックな力が落ちていることが

明らかですし、ノーベル賞受賞者からも今後日本からノーベル賞を受賞できる成果は

期待できないという声が上がっています


半世紀も前の決断が今現実の結果となって現れています


為政者に限らず、経営者も学者も構想力が問われています

その153         2018/4/23に掲載

MBA経営が会社をダメにする?

米中の報復関税合戦が話題になっていますが、そもそも貿易では商品力そのものが

市場での力の源泉になっています


農産物と工業製品は多少異なる背景があると考えられます

すなわち、農産物はその基礎となる農地は移動不可能で工業製品のように競争条件に

よって生産場所を変更することが困難なため、土地の持つ優位性が固定されますので

ここでの議論は工業製品に限ることにします


何年も前から欧米ではMBA取得者によるプロフェッショナル経営が一般的で、その

多くが短期間の結果を求め、かつ株価や利益によって評価され莫大な報酬を得て

います


そのため、投資収益率が不安定でしかも長期に亘る研究費に対し消極的で、自社で

研究する代わりに成果を上げたベンチャー企業を買収することで研究成果を得て

いました。 R&DではなくA&DAcquisition & Development)です


もう一つ、米国企業に特徴的なことは生産能力を需要の8割ほどしか持たないこと

で、これにより景気によらず常時フルキャパシティーで生産できるので高い効率を

維持できることです。好景気で需要が多い時は超過部分を他社、基本的に輸入に

依存することで、海外企業に参入の基礎を与えています


家電製品の絶え間ない技術革新、ガソリンの高騰による市場が急変した自動車、

その自動車に供給していた高品質の鉄鋼製品の軽量化要求等市場の急変に対し

研究を怠ると追随できなくなり結果的に小さな窓が開いていた海外企業に市場を

席巻され、自らは退場せざるを得なくなるという結果を招いてきました


プロ(?)の経営者は短期の利益を得て次の会社に移り、会社の長期的な存続には

関心がありません


結果的に国際的な競争力を失い貿易収支は赤字になります

関税やその他の人工的な手法を採用しても、競争の源泉となる企業が弱体化している

ままでは中期的には米国の消費者に負担がかかることになることになります


MBAで学ぶことを過小評価しないわけではありませんが、経営者の評価をどのように

するかがもっと重要です。 一方で日本のように社長は2期4年、3期6年と決めて

しまうような経営ではどうしても『過怠なく無事に過ごす』という消極的な経営

なってしまいます


正解はありませんが、『評価は歴史が行なうという視点』『挑戦と決断』が必要です 

その152         2018/4/16に掲載

Pentagon Papers


久しぶりに映画を見ました

Steven Spielbergがたった11ヶ月で製作した映画ということで現在の状況を

見据えた作品であることがわかります


大統領と新聞のギリギリの戦いで、結局最高裁まで行って判決が出され 6:3で

報道機関が勝利したというのが話の流れですが、そもそもの記事ネタはランド研究所

の職員が機密書類を持ち出してコピーしたことに始まっており、機密保持に違反

していることは確実ですが、内容的に開示すべきことというのが判決理由です


主役であるWashington Post紙の社主であるKatharine Grahamとはこの事件の

10年後に一度ポスト本社で面会したことがあり、また映画の最後に出てくる

New Tire Timesの主幹Sulzbergerの記事は高校時代に読んでいて、何となく親しみの

ある映画でした


当時はSulzbergerの記事が日本でも売られていたNew York Times日曜版のトップ記事

で、辞書を引き引き読んだ覚えがあります。 シェークスピアやラテン語からの

引用が多く辞書を引いてもわからないことが多く苦労しましたが、文章としては

格調の高いものでした


もっとも、文章として最も格の高いのはEconomistだということですが、それでも

日本ではなかなか見られない記事の書き方だったことを覚えています


さて、大統領vs新聞という対決の構図を見ると非常に厳しいものがあります

映画の中でも出ていましたが、普段はトップ記者や編集主幹は政治家との個人的

付き合いもあり一面では友好的な付き合いであることがわかります


しかし、新聞として記事にしなければならない時は敢然と戦うという点に凄さが

感じられ、翻って日本の新聞はどうなのだろうかと考えてしまいます


新聞が権力のおもねってしまっては『大本営発表』になってしまいます

当時も検閲等の圧力に対して『自主的』に批判的な記事を掲げなかったことは

重大です


最近の『忖度』も直接的な指示は無いわけで、『自主的』に行動を起こしてしまう

ことが問題なのでしょう 

その151         2018/4/9に掲載

働き方改革 その8

仕事量の削減が秘密の鍵


100メートル10秒で走る選手に9秒で走れと言っても難しい、多分9秒7でも

なかなかできないだろう

しかし90メートルを9秒で走れと言ったら簡単に達成してしまうでしょう


生産性という観点から見ると100メートルを9秒で走れというのは無理難題で

プレッシャーばかりで実現できません。本当に生産性を上げようと思えば上の例

にもあるように短い距離を9秒で走るようにすれば良いのです


到達目標を100から90に変えるのは管理者しかできないので、生産性を上げる

ための基本は実際に仕事をしている人ではなく管理者をトレーニングすることから

始めることになります


普段の仕事を全部列挙して見るとおそらく半分ぐらいはやらなくても困らないこと

ではないでしょうか。 特に実際に作業をしている人は実感としてこの仕事は

優先順位が低いということを感じていますが、万が一上司から要求された時の保険

としてやっていることが多くあります


保険をかけなくても良いという判断は難しいもので、やはり上司の了解、理解、指示

がないとできません


ですから、仕事量を減らすのは上司の役割ということになり、その為のトレーニング

をしなければ実態は改善されないのです


嘗てこのような経験をしたことがあります

比較的高いレベルの技術が要求される製造ラインで1日の生産目標300台が要求されて

いた時、目標を達成したら早く帰っても良いというルールを作りました

それまでは1250台でも300台でも決められた時間で作業していましたので実質的に

1日の作業効率が変動していました。 300から250に少なくなり作業が楽になった

あとで再び300に戻すと非常に難しく感じられ、逆に300から250になると不思議な

ことに不良率が高くなってしまうのです


そこで、作業効率を一定にして早く終わった時は帰るということにすると、共通の

目標ができるので作業者相互でノウハウを教えあったりして、これまで以上に

協力関係も構築され作業終了時間がどんどん早くなってくるのですが、プレッシャー

には感じません


なぜなら作業者全員にとって良いことだからです


このような決断は管理者しかできません 

その150         2018/4/2に掲載

発言の取り消しとは何だろう


『覆水盆に返らず』という諺は無くなってしまったのでしょうか


最近は国会でも会社でもあちこちで『発言を取り消してお詫びします』ということが

頻繁に聞かれますが、お詫びはともかく発言を取り消すとはどういうことなの

だろうか


間違った発言をしたから訂正するのは理解できますが、一度出た言葉は取り消せない

のは自明の理で、公式記録から削除されたとしても人々の記憶には残るからであり、

記録がないと記憶も間違っていたのではないかという恐怖にとらわれてしまいます


旧日本軍の行動が記録に残されていないために、あることがあったのか無かったのか

で50年以上論争しているのは嘆かわしい限りで、記録があれば議論にならないこと

を認識すべきではないだろうか

ナチスドイツはドイツ人らしい几帳面さで全ての記録を詳細に残していたために歴史の

検証が正確になされていることと対比すると正確な記録の重要性が認識できます


最初の話題に戻れば、発言はあくまでもそのまま残し、訂正として錯誤や誤認識の

ため何月何日に訂正しましたという記録を残すべきでしょう


日本での議事録の書き方は定型的で、例えば第1号議案は原案通り賛成多数で可決

されましたという記述が一般的です。 一方、欧米では第1号議案は9対3で

可決されましたとし、さらに議論の詳細を誰がどのように発言したかを記録に残す

のが一般的で、これなら後刻検証が可能です


公文書の作成保存や会社内の会議や決裁記録をルールに従って残し、一定のルールに

従って閲覧できるようにすることは非常に大切です


このような記録をもとに必要があればマスコミは自ら検証して記事を書くべきで

記者クラブで配布された文書や、会社が発表用に配布した資料をそのまま記事にする

ようではマスコミの存在意義が疑われてしまいます


マスコミが自由に発言できない国は歪みが是正されないので国の発展も結局どこかで

止まってしまいますし、経済発展が歪になるのでGDP等で良い数字があっても

本当の意味での国民全体の満足度は低いものになってしまいます 

その149         2018/3/26に掲載

百年の計を見通した今の課題


非正規社員が定年を迎えた時にどんな生活が待っているのか?

正社員が定年を迎えても年金だけでは暮らせないのに、非正規の場合はどうなる?


人口に占める後期高齢者比率がますます増加した時の医療費はどうなる?

医療保険料の大幅な上昇か、医療サービスの低下は避けられない?


消費税は10%で十分なのか?

欧米諸国では20%は当たり前だが、日本では実現できるのか?


国家予算に占める国債依存度が上昇して金利が上がれば利払い費用が急増?

日本の場合、国債の海外依存度が小さいのでギリシャやイタリアとは違う?


これらは多少景気が良くなっても短期的に解決できることではなく、国家百年の計が

必要ですが、このような議論を聞いたこともありません

意図的に考えないようにしているとしても現実は確実にやってきます


百年後には生きていないからどうでも良いのでしょうか?

これこそ次世代にツケを回すことになってしまいます


現実をしっかりした数字で正確に把握し、いくつかの選択肢を示し、国民全体で

意思表示をしないと厳しい現実に立ち向かうことはできません


江戸末期に黒船の来襲を見て開国を決心したのは、単に黒船に怯えたからではなく

しっかりとアジアの状況、欧米諸国の実力を知っていたからこそ決断できたこと

『鎖国』という言葉に捉われて海外のことは何も知らなかったというイメージ

ありますが実際には様々なルートで幕府も各藩も情報を持っており、その結果

として開国止む無しという結論が出たし、明治以降の動きも素早かったのです


翻って現代に目を移すと、海外の情報を本当に持っているのでしょうか

自分に都合の良い情報のみを取り、流し、結論先に在りきになっていないでしょうか


政治の質の低下が言われて久しいし、最近の役所のだらしなさは開いた口が塞がら

ないのですが、所詮これらは我々国民の反映でしかありません


今こそ、一人一人が決意を持って難局に対処する覚悟がなければ本当にツケを

次世代に垂れ流すことになってしまうでしょう 

その148         2018/3/19に掲載

プロの活用


プロ活躍の場はスポーツに限らず存在しますが日本ではとても限定的であると同時に

プロの存在を認めないような雰囲気もあります

スポーツの世界でもコーチやトレーナーといった場面ではまだまだ確実に市民権を

得ていないように思えます


この前閉幕した冬季オリンピックでは、メダルを多くとったスケートでは多くの

プロのコーチ、それも外国人コーチの存在感が目立ちました。 外国人コーチが

飛び抜けて良いというより日本人コーチが育っていないといったほうが良いでしょう


顔をビジネスの世界に向けても、『〇〇のプロ』といった肩書きは少数派でもあるし

肩書きとしてもほとんど認知されていません


最近はいわゆる『働き方改革』や『裁量労働制』といったことが話題になっています

がその道のプロが存在しない世界ではこれらも絵に描いた餅になりかねません


どうして日本ではプロが育たないのでしょうか


一つには学校教育の方針が『みんな一緒』という概念だからではないでしょうか

人間は十人十色、個性があります

ですからみんな一緒ということはあり得ないのです


それなのに『出る杭は打たれ』『足りない部分は底上げされ』『平均的かつ均質的』

な人材が大量生産されてしまったのではないでしょうか


日本人は昔から非常に個性的で独創力に富んでいた筈なのにいつの間にかラバー

スタンプのような均一的な人間にモールドされてしまったのではないでしょうか


平安時代に既に女性が源氏物語を書き、日本刀という強くて鋭利な鍛造技術を

はぐくみ、江戸時代に為替や先物相場を確立するほど独自性をもっていたことが

ウソのようです


これからは一人一人がそれぞれのプロの道を開拓し、技術を磨き、個性を発揮する

時代にならなければならないのではないでしょうか


このような結果として『働き方改革』や『裁量労働制』が確立するのです

その147         2018/3/12に掲載

女性の社会的進出


政府が音頭を取ることもなく、積極的に進めるべきことだと考えますが、先ずは現状

を認識して行動を起こすべきで、感情論やあるべき論では何も解決しないことを意識

しなければなりません


いろいろなデータがありますが、どれを取っても残念ながら日本は世界の中でも

女性の社会進出が最も遅れているという事実があります


例えば、女性管理職の比率から始まって、女性議員比率、博士号取得者数と軒並み

世界でも下位、場合によっては最下位争いという状況です


ダボス会議で有名な世界経済フォーラムが発表しているGGIを見てみましょう


201711月、「The Global Gender Gap Report 2017」において、各国における

男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap IndexGGI)を発表しま

した。この指数は、経済、教育、政治、保健の4つの分野のデータから作成され、

“0”が完全不平等、“1”が完全平等を意味しています


2017年の日本の順位は、

144か国中114位(2016年は144か国中111位)でした

前回に比べ、経済、教育、保健分野の順位は上昇しましたが、政治分野は順位が

下がりました。これは、主に、閣僚の男女比が昨年のGGIにおける基準値より低下

したことによると考えられます


ちなみにトップ3は北欧3国、フィリピンが10位、仏独が11,12位、米国が49

ロシアが71位、そして中国100位で韓国が118位です


原因は様々でしょうが、ここまで現状が悲惨であると、個人の努力は勿論のこと

うわべのキャンペーンなどでは改善は見込めませんので、大きなうねりを作らな

ければなりません


人間は頭で理解できても感情や習慣によって縛られるので行動は簡単に変わりません

10年とか20年かけて変革を実現する理論と行動目標を地道に努力するしかない

ですが、たびたび指摘しているように社会全体が『目先』に囚われて『百年の計』

を掲げる人がいません


先ほどのGGI上位の国は何らかのクォータ制を導入していますので、やはり自主的に

というのは困難ということで、このような制度の導入が議論されても良いでしょう


消費税の問題にしても、過疎化の問題にしても長期的なビジョンに基づき筋道を

作り皆が納得して、時には短期的な厳しさや不利益を乗り越えなければ、結局

その先には更に大きな障害物が待ち受けることになります


世代間の負担均一化、次世代に負債を負わせないというスローガンはよく聞きますが

本当に今行なわれていることはそうなのでしょうか?


今こそ力を持った『怒れるミドル』が立ち上がらなければ何も変わりません


ミドルよ頑張れ!

その146         2018/3/5に掲載

今、何が必要なのか


12千万人の人が乗った日本という大きな船の舵をとることは難しいし、たとえ

舵を切っても実際に進路変更するには相当な時間が必要で、しかも急な操舵を

すれば船そのものが転覆しかねないので、方向転換には周到な準備としっかりした

予見が必要となります


これこそが船長の腕前であり、航海士の適切な情報提供も絶対条件です


バブル崩壊から久しく、人口も減少し始めていますが、長期的な展望や施策の

手が打たれているのでしょうか


私事になりますが、三十年も前に教育関係のある展示会で今の日本の姿を示し

高齢化に対する対策の必要性を示したことがあります。 出生率や海外からの

人口流入の動向、平均寿命等から比較的簡単に人口構成の高齢化は推測できたので

そのための対策を早く始める必要があるという訴えでした


対策を考え、立法化し、人材を育成し効果を表すまでには最低でも十年、通常は

二十年ほどかかるので、そのような提案をしたのですが、何もなされずに予想通り

の状況が目の前に来てしまいました


今、何が重要なのでしょうか


人口減少にどう対処するのか

大都市に人口が集中し過密になる一方、地方では急激な過疎化が進んでいます

企業の生産性の伸びが止まっています

生産性の著しい伸びのあった第二次産業から生産性の低い第三次産業への転換

 による影響が大きいので、第三次産業での生産性を高めることが必要です

この観点から見ると裁量労働制や脱時間給制度は必要ですが、その前提となる

経営者の意識改革と雇用・労働環境の改善が求められます


『働き方改革』で言われていることは、法律で行動を規制しようという発想で

最初に取り組むべき経営マインドの変革をどのように進めるのかという議論が

ありません


以前から言っているように『働き方改革』は『経営者・管理者の意識改革』です


将来に希望が持てなければ出生率は上がらず、ますますの人口構成の老齢化が

進み、保険や年金制度の破綻が迫ります

財政の健全化も進まず、これらが若年層の漠然とした将来の不安を醸成しています


社会の実権を握る政府や企業経営者がすぐにでもやらなくてはならないのは

ここに列挙した課題の方向性を示し、皆のベクトルを揃え、危機を乗り越えること

であって、これに比較すれば『北朝鮮の脅威』はとても小さなことに思えます


苦しくても、大衆受けしなくても十年先に必要なことを示して先頭に立つのが

リーダーの役割です

その145         2018/2/26に掲載

働き方改革 その7

裁量労働制の議論が横道に


最近の裁量労働制に関する議論は、だいぶ横道に逸れてしまっているのではないか

『時間でなく成果で評価』という尺度も必要だが誰に適用されるのか

労働環境は大企業と中小企業では相当に異なるのに一律に適用できるのか

多くの中小、零細企業は『経団連』には加盟していないので、これらに雇用されて

いる人たちの代弁者は誰なのか


そもそも、多くの日本企業では個人別の明確な年度目標や達成目標が具体的に明示

されていないので個人に『裁量』を任された仕事があるのだろうか


職場の時間管理はマネジャーの重要な仕事ですが、適切になされていれば長時間労働

のような事態にはならないし、逆にこの時間管理ができていないとすれば裁量労働

はまさに長時間労働を助長することになりかねません


確かに1日の残業時間が45時間といったデータは有効性を確認したとは考えられ

ないので、制度設計の『101』からやり直す必要があるが、前提としてどのような

労働環境を作ろうとしているのかという根源的なテーマの議論がまず必要になります


国会の審議も、新聞等の報道も、コメンテーターの解説も枝葉末節な議論に終始し

本質的な議論をしないのはどういうことなのか


本来的に法律は『人の行動を指示するもの』ではなく、『人の行動や判断の大きな

枠組み』を示すものでなければなりません

つまり『人々の自由な発想や行動』があるものの、集団や社会生活をスムーズに

行うため限度を決めるものでなければなりません


イギリスのような慣習法の国では『規則を守ることが自由だ』という概念が定着

していて、ルールはできるだけ少なくする代わりにこの最低限のルールは皆で

守ろう、さもなければルールが徐々に増えてしまい結局がんじがらめに自由が束縛

されてしまうという概念です


残念ながら日本ではいまだに『お上』意識が強いため、細かな行動まで規則を

決めて欲しいという感覚が強く『横並びの安心感』とともに変化に対して非常に

保守的となっています


自由な発想でビジネスが展開されるためにはこのような『横並び』からの脱却が

必要となりますので、この観点からは裁量労働制のような制度も必要でしょう

しかし、制度に頼って実態と関係なく横並びで実施されるなら失敗は明らかです


国会も、マスコミもそして我々自身も本質的な議論と検討が必要です 

その144         2018/2/19に掲載

働き方改革 その6

身近なことから改革しよう


ほとんどの会社では昼休みが12時から1時となっているのでオフィス街のレストラン

ではいつも長い列ができてしまいます


また、昼前の会議が少し長引いて1215分になっても昼休みは1時に終わるので

休憩は45分間になってしまいます


昼休み前にようやく報告書やプレゼン用の資料がまとまりかけても昼になり休みを

とると、元の思考に戻るのに時間がかかり効率が悪くなります


昼休み時間をを自由にしたらどうでしょうか


隣席ともメールでやりとりする時代、皆が一斉に昼休みとなる必要はあるのか疑問に

思いますし、それぞれの状況で休みを60分間取れば良いでしょう


最初にも書いたように都会のビル街では12時になると人が溢れ、長い待ち時間で60

の休みがランチで消えてしまいますし、店にとっても回転が上がらないので経済効率

も悪くなります


例えば、11時から2時の間で60分の休みとすれば行列も解消し、店も回転が上がる

ので値下げしても売上が増えることになります


観光地では100日で一年分の稼ぎをして残りの265日はガラガラという状態で設備も

人も非常に効率が悪くなっていますので、平日にも休暇を取るようになり、平日の

稼働率が5割程度になれば全体に30%値下げしても十分に利益が出るようになり

ますし、それによって更にお客さんが増えることになります


日本の社会はなんでも一緒にという意識が強く実現は難しいのかもしれませんが

それこそ官民一体となって『独り立ち』できるような雰囲気を作ることが大切です


横並び思想からの脱却と自主性が生まれなければこれからのグローバルな競争に

勝てません 

その143         2018/2/12に掲載

Space-Xのロケットは23階建てのビルと同じ


先週、Space-X社の衛星がFalconHeavyというロケットで打ち上げられました

映像で見るとそれほど大きさは感じられませんが、実際には23階建てのビルと

同じ高さ70メートルのロケットに65トンの衛星が載っています


65トンは乗用車50台分です。 溜池の角のコマツ本社の屋上にはブルドーザーが

置かれていましたが、そのブルドーザー10台分以上の重さになります


身近にある23階建ての細長いワンルームマンションのビルがそのまま宇宙へ飛んで

行くと思うと、映像で見る打ち上げ風景とは異なる凄さがあります


現在では、世界で起こる様々な現象がテレビやネットで簡単に見られるようになり

ましたが、大きさとか音とか現場でしか分かたない感覚までは伝わってきません

VR(バーチャルリアリティー)でなんでもできるという風潮もありますが、やはり

実際の肌で感じる現実とは大きな違いがあり、騙されないようにしないといけません


大相撲の初場所を観に行きましたが、土俵から五番目ぐらいまでの升席ですと

力士のぶつかる音や息遣いが聞こえてきてその迫力はテレビでは決して伝わり

ません


まさに耳で音を聞くのではなく、身体で聞くという感じで、最近和太鼓が流行って

いるのもこれと同じ感覚なのでしょう


最近の新聞で入社面接にもAIを活用して、画面に向かってAIと応答するような仕組み

ができているそうですが、どうでしょうか

人と話すことは単に質問に答えるのみでなく、顔の表情や会話の間合い、言外の

微妙なニュアンス等も大変重要な情報ですが、AI相手ではこれらは斟酌されませんし

また話しにくく本来の姿が見えにくくなってしまいます


科学技術が進歩すればするほど、人と機械の棲み分け、何を求めているのかという

本質的なことがますます重要になってきます

その142         2018/2/5に掲載

政治とマーケティング


トランプ大統領については様々な評価が有りますが、ひとつだけ確実なのは政治に

マーケティング手法を導入した事です。 その善悪については人それぞれの考え方

があるでしょうが急激に変化する世界の中で政治だけが不変である理由はありません


2016年の大統領選挙のときからマーケティング手法を導入しており、その一例は

選挙制度を十分に理解した作戦だったと言う事です

一般投票での勝負は度外視し、州毎の選挙人をどのようにして積み上げるかという

かなり緻密な戦略が見て取れます。実際、一般投票では2%以上の差でクリントンが

勝利していますが選挙人では100人以上の差を付けられています


トランプ陣営の作戦は負けが必至のニューヨークやカリフォルニアではほとんど

選挙活動をせず、比較的選挙人が多く保守的な中西部の諸州を重点的に取り込んだ

ので一般投票では逆転現象が起きたのです


マーケイングの観点からは大成功ですが、争奪戦になった中西部諸州でいかにして

支持を得たのか、『アメリカ第一主義』『NAFTA見直しで職をアメリカに』『不法

移民を制限』といったスローガンで支持を集めましたが、本当にこのような政策を

実行しようとしていたのかどうか疑問な点もあります


マーケティングと政策の違いは投影しているタイムスパンだと思います


マーケティングは今の状況にどのように対処するのか、あるいは顧客の

デモグラフィック分布を把握したうえで最大の効果を生むような戦略を建てる

というのが基本的な考え方ですが、政策はもう少し長い時間軸でみています

5年とか、10年のスパンで考えますから『今』への対処よりも『理念や哲学』が

優先されることが多くなります


日本では政治の劣化が言われて久しく、選挙制度や政治家の質に話題が集中しがち

ですがマーケティング思考があるのかどうかという観点から見ることも出来ます

個別の政策には必ずしも賛成しないのに内閣支持率が高止まりしているという

世論調査結果をどのように解釈するのか


意外にも日本では知らず知らずのうちに政治の世界にマーケティング手法が導入

されていたという事かもしれません

その141         2018/1/29に掲載

会議とコーヒーブレーク


国際会議の場では、それが社内であれ、政治の場であれ正式の会議は得てして原稿を

読むようなことが多くなります

間違ったことを言わないため、わかりやすい説明であるため、そして政治の場では

事前にレジュメが記者団に配布されるのでどうしても型にはまった形式になります


参加者の主張が異なる場合、これでは結論が導き出されません


そこで、事前に担当者ベースでの調整が行われ、会議は主張を述べ、議長が事前に

決まった調整案を提示し参加者それぞれが、積極的であるか消極的であるかは別に

して最後のセレモニーの場で正式決定となります


しかし、これでは担当者ベースで物事が決まってしまいトップの決定権が薄くなる

ので場合によってはトップ同士の調整で結論が出ることもあります


それではどのようにして妥協が成立するのだろうか?


ここで重要なのがコーヒーブレーク時の個別な折衝になります

報道等で流される国際会議の場面で時々、参加者がコーヒーを飲みながら談笑する

姿が映されることがありますが、実はここで個別の折衝が行われている可能性が

大きいのです


国際会議に出席する人物の多くは多言語を話せますので、英語、仏語、ドイツ語、

ロシア語などで個別折衝が行われることが多いのですが、残念ながら日本語や

中国語はこのような場面では使われません。 もっともアジアの会議では中国系の

人が多いのでこの場合は中国語も使われるでしょう


このようにみてくると、日本からの会議参加者はこれらの共通言語に長けていないと

話の輪に入れず、重要な決定に参加できなくなってしまうのです


コーヒーブレークでは通訳は入りませんし、また直接話をするので相互に人物評価

をしながら信頼感の醸成に努めるわけです


このような状況を熟知していれば言葉の重要性は理解できると思いますし、日本が

なかなか国際的な場面で活躍したり、国際標準作りに参画できない理由が理解

できます


国際的に通用する人材よ出でよ! 

その140         2018/1/22に掲載

幼稚園に見る最近の世相


縁があって地元の幼稚園の理事長をやっていますが当初の予想と随分違うことが

ありました


予想外の一つは、親の年齢です。 平均して30代も後半、40代も珍しくありません

それに伴い社会的地位の高い人が多いので教育投資にも積極的です


二つ目は、こども3人の世帯も珍しくなく小さな子を自転車に乗せて送迎する姿も

ありますので核家族化して3人家庭が多いという実感はありません

結婚しない人や子供のいない家庭が以前より増えているので「平均値」の家族数は

3人でも分布を見ると一人っ子より複数の子供を持つ家庭が多いのでしょう


また、東京都の場合は若年層の流入もあって人口が増加していることも一因かも

しれません

職があって、住環境が整えば人口は増えるということで「働き方改革」の一つの

方向性が見えてくるのではないでしょうか


魅力のある地方が活性化されれば人口は増えます

政治のみでなく、経済も文化も全てが東京に集中している現状からの脱却が必要です


江戸時代までは経済の中心は大阪、文化の中心は京都にもあったのですから、

東京以外に活動の中心を作ることは難しくありません

江戸時代の大阪には武士がほとんどいなかったという事実はもっと語られても良いし

その背景は何なのかという分析も役に立つと思います


権力に追従しない自立の精神があるのではないでしょうか

補助金による中央集権をいかにして打破するかですが、文化的活動がきっかけに

なるかもしれません


松本市の「サイトウ記念コンサート」には内外から多くの音楽家と聴衆が

集まりますので、一つの事例になります


それぞれの場面でのアイデアと地道な努力が欠かせないと思いますが、

「ふるさと納税」を活用することも考えられます

その139         2018/1/15に掲載

やはり生産性の向上がこれからの鍵


戦後のGDPの伸び率を見ると3期に分かれることがわかります

第一期が朝鮮戦争特需で本格的な復興が始まってから70年代初頭の石油ショックまで

第二期が1989年のバブル崩壊まで

そして第三期が現在までです


GDP成長率の平均は

第一期が約7%、第二期が3%、そして直近が1%です


一般的に成長率は人口の伸び率、生産人口の伸び率、そして生産性で決定されますが

上記の期間で見ると人口と生産人口の伸びには大きな差異はなく、結局生産性の

伸び率の差であることがわかります


ただし、第一期は日本全体の人口や生産人口の伸び率はその他の期間と大差がない

ものの、大きな特徴は第一次産業から第二次産業への急激な人口のシフトです

産業間の生産性の差がプラス要因になって全体の数字を押し上げています

地方から集団就職のため上野駅に到着の風景が今でも語られていますし歌にも

なりました


第二期から第三期にかけての変化は第二次産業から第三次産業へのシフトで今回は

生産性の低下となって表れています


インテルの半導体に代表される知的産業は非常に高い利益率を得ていますが、

これらはごく一部であり、多くの第三次産業はサービス中心の構造となっているため

労働集約率が高く生産性は高くありません

工業製品のように大量生産することができず、多品種少量生産の典型的な産業です

つまりを対象とする産業では定型的な大量生産ができないのです


これらの結果として先進国ではどこも成長率が低下している一方で、ごく一部の

業種に富が集中してしまっています


世界全体で見ると何とトップ8人の資産が下位5割の合計と同じだというように

富の著しい偏在があります


このワナから抜け出すアイデアと勇気が求められますので、これまでにない発想と

長期的なビジョンに基づいた着実な努力が求められますし、意識改革も重要です


日本の場合には生産労働人口は減少しても労働参加率を高めることで実質的な

生産人口の増加も見込めます


いかにして労働参加率を高められるか、そしてサービス産業の生産性向上が

改善のカギとなります 

その138         2018/1/8に掲載

あけましておめでとうございます

正月早々ですが、頑張れの意味を込めてひ弱な日本≠ノ喝!


スパルタを奨励するわけではありませんが、最近の世の中を見ているとどうしても

『ひ弱な日本』という印象がぬぐえません


過去四半世紀に亘って犯罪も交通事故も減少しています

このこと自体は良いことなのですが、活力が失われた結果だとすると単純には

喜べないところがあります


一方でスポーツの世界ではゴルフの松山、スケートの小平や高木が活躍し、

ダルビッシュもアメリカで一回り大きくなりましたし、大谷も身体を作れば第一線で

活躍できるでしょう

また、スポーツの世界ではカタカナ日本選手が増えています。日本国籍に漢字の

名前を要求しなくなってからカタカナのままの選手が目立ち、また活躍している

のは良いことだと感じます


様々な血が混じることで新しい力が生まれることは頼もしい限りですが、ビジネスの

世界でも同じような動きが望まれます


海外企業に買収されて再生される日本企業を見ると新しいアプローチや方針が必要

ことがよくわかりますし、社員のポテンシャルが低いわけではありません

逆にポテンシャルが高いから、欧米に限らずアジアの企業も日本企業の買収に熱心

なのでしょう


日本企業も秩序に守られたひ弱さから世界に力強く主張できるようになって欲しい

と願ってやみません


エネルギー政策で『原子力は中央集権、再生可能エネルギーは分散型』という話を

聞きました。第三次産業革命で情報が主役になり、中央集権的なアプローチよりも

分散型の方が効率的でイノベーションも早いとのことです


日本の政官、企業は依然として中央集権型で効率の悪さが表面化しています

同時に分散型になるためには個々の企業や個々人の主体性が問われるわけで

『ひ弱な日本』では分散型の社会には対応できません


個の確立と、様々な文化との競合と融合、判断のスピードアップが求められます


教育の役割はますます重要になるのではないでしょうか