その86         2016/12/25に掲載

平均点主義から脱却しよう

意外なことでしょうが、東大は全科目平均で70点取れば合格できます

受験科目数が多いので、一科目だけ100点満点を取っても他の学科の成績が悪ければ

合格しませんので、結局おしなべてよくできるけど飛び抜けた特徴のある人は少なく

なってしまいます


その為かどうかわかりませんが東大出身でノーベル賞をとった人は少ないです

その「優秀な」人材が霞が関で高級官僚になったり、大企業の役員になる出世階段を

登るので官僚や大企業の役員は優秀な人が揃います。 しかし革新的なアイデアや

可能性が低くても飛躍のチャンスのあるような事業には手を出しません


他方で、アメリカをはじめ、ヨーロッパ、中国、東南アジアなど世界各国の躍進

するベンチャー企業ではMBAを持った人もいれば、大学をでない人もいて自分の

発想にかけている人たちが成功を収めています。 勿論、その影には多数の失敗が

あり、成功するのは非常に低い確率ですがそれでもチャレンジした結果それなりの

果実を得ることができるのです


また、ベンチャーは日本では一度失敗すると次のチャンスは少なくなりますが、

海外では23回失敗するとようやく認められ、失敗しないベンチャーは逆に厳しい

目で見られるように彼我の環境はまるで異なります


「失われた10年」と言われて久しいですが、既に四半世紀が経過し、まだ再浮上の

きっかけもつかめていないというのが日本の現状です。 つまりパラダイムの変化

についていけず古いパラダイムの上に絵を描いているのは「優秀な」人たちなのです

大きなパラダイムが変化しているときは「平均点の発想」ではなく、規格外の発想が

要求されますので、現在の日本の政財界では対応できないと考えられます


建築家の安藤忠雄氏のようにユニークな存在もありますが、このような人材が

各方面で次々と排出するような環境整備が求められています

その85         2016/12/19に掲載

業界の壁

どこの国でも業界というのは存在しているのでしょうが業界が一つの小宇宙

なっているのは日本だけの現象で、そのことが様々な改革を阻む一つの原因に

なっているのではないかと考えられます。 商慣行という意味では業界ごとに

特徴があるのは理解できますが、給与水準や人材の異動も業界内のみということに

なるとやや閉鎖性が課題になってきます

人材に的を絞ってみてみましょう

確かに業界に詳しい人材は即戦力になり頼もしい点がありますが、逆に一定の発想

から抜けられないということもあります。 例えば経理や人事のような職種では

業界慣行より専門性の方がより重要だと思われますし、それだからこそ海外では

業界を超えた人材の流動生が確保されています

結果として、給与水準や待遇面も業界間の交流によって平準化され、それが

さらなる異動の活性化を促すようになります

最近では人手不足が深刻化し、パートやバイトの時給も上昇しているとの報道が

ありますが、ほんの数年前までは就職難でした。 しかしこのような時期にあっても

介護関係や保育士等の分野では人手不足に悩んでいました。 現状では他業界の

好調さもあってこれらの職種では人手不足はさらに深刻化していますが給与水準は

低いままで、これでは労働市場での競争に勝てません。 介護資格保有者は多いの

ですが職についている人は少ないという現象があり、あまりにも給与水準が低い

ことも一因だと思われます

業界横並び意識が強すぎ、また規制が影響しているのでしょうが、社会的現象に

なっているのに改善されないのはどうしたことでしょうか

この業界は給与が低いということで見過ごされてしまうとしたら、経済原理が

働いていない、市場経済ではないということになります

頭を柔らかくして、他業種からの人材を確保することでこのような低迷は

打破できると考えますし、このような動きが日本経済の再活性化につながると

信じています

ここでも常識に対するチャレンジが必要です

その84         2016/12/12に掲載

企業を評価する尺度を一定に

国会での改憲論議がスタートしました、いわゆる自主憲法の制定ということで

第九条の変更を目指しているようです。 現憲法の骨格の一つである戦争放棄は

実は日本側の提案だったことが資料で明らかになっていますので、改憲論者の

重要な柱は崩れています

さて、改憲論議はさておき、目を会計基準や企業統治に移してみましょう

日本の基準はそれこそ外部からの輸入で、自主性や統一性に欠けています

SECは海外企業であっても米国人株主が一定人数以上(6人だったと記憶して

います)ある場合、その企業が米国内で上場しているか否かに関わらず米国会計基準

での報告を求めています。 したがって日本国内でのみ上場し、米国でのビジネスが

全くなくても米国会計基準での報告を求められるわけです。 背景にあるのは、

自国投資家の保護ということです

SOX法でも米国では一定基準以下の時価総額の場合(7500万ドル)は適用が免除

されています。 負担の軽減と、いわゆるベンチャー企業の場合は投資家そのもの

が自ら監督責任を持てという発想です

ここには善悪はともかくとして、一つの理念があります

翻って日本の状況を見ると、会計基準は米国や国際会計基準(欧州主導)に右倣え

SOXは小規模会社にも全て適用、一方で大会社に対しても内部統制の範囲が狭く

子会社も規模で適用除外をしているため、例えば金融に特化した子会社は、実質的

に会計処理の重要な部分を担っていても対象外となる等基本となる理念が曖昧な

ままです

決算期も圧倒的多数が3月末ですが、海外では12月末が多く、中国のように法律で

12月末決算を規定している国もありますので、連結決算上、日本の海外子会社は

3月にも連結用の決算をする必要があり、コストがかかっています

会社法においても、委員会設置会社あり、外部監査人を置く監査役会設置会社あり、

昔ながらの監査役のみという会社もあり、会計基準についても国際会計基準

だったり、日本の会計基準だったりまちまちです。 東証一部上場会社はこの基準、

マザースはこの基準というように統一がとれていれば比較検討もできますが、

東証一部企業の内でも基準がバラバラでは投資家は業績や統治の状態を簡単に比較

検討することができません

自主憲法を言う前に大事な経済面で、日本としての理念をしっかり作り、それに

合わせた体制を構築することが必要です

そうでなければ、海外から日本企業に投資する流れが阻害されることになり、

日本経済にとって大きな課題が残されることになるでしょう

その83         2016/12/5に掲載

AIは万能か?

最近はどこを見てもAIとかビックデータと言うのが流行になっています

ビッグデータを使えば何でもできる、またはAIを使っていますと言えば免罪符の

ようになって商品価値を高めてようにも見えますが、本当でしょうか

いくつかの事例を見て検証をしてみます。 英国のEU離脱、米大統領選挙などでは

事前の予想が大きく外れてしまいました

その1つとして言われているのは、携帯電話の普及にも関わらずこれらの世論調査

では固定電話中心のサンプル抽出に頼っているからということがあります

もう一つ、世論調査ではオリジナルデータにさまざまな加工を加えているという

ことです。 米大統領選挙においては実際に投票に行くかどうかという可能性を

加味して基礎データの修正をしているとのことです。 今回の選挙ではこの修正

過程で大幅な差異が出てしまった、投票に行かないと思っていた層から多くの人が

トランプに投票したと言うことで大きな違いになってしまいました

世の中の大きな流れの変化がある場合にはこのような間違いが起きます

AIとかビックデータ分析といっても過去データーの傾向で判断をしているので、

大量のデータを使っていれも結局はこれまでの流れからは離れません。 人々の

判断基準が大きく変化したときには傾向を正しくとらえることができないことに

なります

ここでの教訓は部屋の中でコンピューターをいかにうまく操作しても、最終的には

人間の感覚に頼る部分は残ると言うことです

最近感じる事ですが、半日後の天気予報が当たらないことがあります

スーパーコンピューターで計算した結果をもとに予報を出していて、部屋の外で空気

の匂いや湿気を肌で感じるような、いわゆる職人芸が減ってきているのではない

でしょうか。 ビジネスの世界、特にマーケティング部門においてはこのような

鋭い感覚というのは今でも必要なことだと思います

その82         2016/11/28に掲載

非常識、活力、調和

トランプ現象はまさに非常識が常識になりつつあるという現実です

Brexit、ドゥアルテ、トランプと予想外のことが連続して発生していますが、原因は

何でしょうか

以前に、『魔女はいた』という話をしましたが、常識とは『その時代には信じられ

ていた共通認識』ということができます。 ガリレオ以前には太陽が地球の周りを

回っていたのです。 もっとも当時のイスラム文化圏を中心に実際の観測を基に

実証的な研究をしていた天文学者は地球が太陽の周りを回った方が観測データと

実際の天体の動きが正しく説明できるということは知られていたようです

天動説は『キリスト教会の権威を保つための便法』でもあったのです

このように見てみると常識とは世の中で一般的に信じられていることのみでなく、

時の権力者にとって都合の良いことが要素として見えてきます

絶対的な真実の難しさでもあります

数学的に証明のできる、例えばアインシュタインの法則は真実に見えますが、新しい

観測結果によって証明方法が変更される可能性はゼロではありません

社会現象では数学的な証明は難しいので、ますます何が真実かという問いに正しく

答えることは難しくなりますが、30年〜50年ぐらいは普遍的に信じられる常識

をいかにして共有できるかということが大切でしょう。 

『今』に流されない意志の力が必要だと思います

一方で、非常識が活力を与えるという事実も認めざるを得ません

最終的にはこの両者をいかにして調和させるのかという解を得ることが我々の責務

であると思います。 常識は時代や場所で異なりますのでグローバルな調和の難しさ

はより大きくなります

例えば、アラスカのような辺鄙で不便、しかも気象条件は過酷なところになぜ住む

かと言うのは、日本人にはわかりにくいのですが、近所に人が増えてうるさくなった

から静かな環境を求めて移住した人が多くいます

人が増えてという感覚は日本とは全く異なり、5エーカー(6000坪強)もある土地

でも夜になると人の話し声が聞こえるというのが人が増えたということです

日本企業に目を移してみると、一部のベンチャーや新興企業を除き活力の無さが

目立ちます。 常識にとらわれない発想が少なく、過去データを基礎とした平凡な

発想、過当競争回避という言葉に包まれた活力不足があります

経済の再生には非常識とも思える冒険、そこから発生する活力、最後に市場や

競合との調和というステップが必要と思いますが、まずは失敗を恐れない

チャレンジが求められます

その81         2016/11/21に掲載

10年後を占う

まず予想外の大統領が誕生するアメリカです

WASPと言われた権力の中心が崩れていることに白人層を中心に漠然とした不安と

焦りがあることが最大のポイントとです。 ケネディーの時代には80%程度あった

人口に占める白人比率は60%にまで下がり、今後も低下し過半数を割るのは時間

の問題です

アフリカ系アメリカ人の比率は10%程度で変わらず、ヒスパニック系とアジア系

が急増し、これらはいずれも出生率の高さから今後とも増加が見込まれます

今回の選挙の州ごとの色分けを見ても分かる通り、東西両海岸は民主党、中西部

から南部、南西部が共和党の地盤になっており、州の数で見れば圧倒的に共和党

優勢です。これは知事の色分けにも表れています

さて、本題の10年後ですが

アメリカでは2020年ごろに大規模なテロの発生が考えられます

トランプ後の大統領はより拡大した格差とそこからくる不安定さに苦しんでいるで

しょう。 レーガンの時代にサッチャーとともに徹底的な開放経済と規制改革を

実施し景気は回復しましたが、長期的にはドル高に耐えられずプラザ合意での

ドル安へ、そして英米ともに金融中心の経済へと舵を切った結果、所得格差は

極端になり、製造業は衰退しました。 これが今の格差とは白人中間層の不満に

繋がっています

トランプ政策と人口に占める白人の比率が50%を切る直前で分断が更に進みます

しかし中国経済の低迷、プーチン後のロシアの低迷、EUの統合も英国の離脱、

メルケル以降のドイツの指導力低下等で低迷し一時的に高まったナショナリズムに

押されてEUの世界での影響力は下がっています

ここに政治、軍事の空白が生まれテロ活動が高まります

日本は東京オリンピック後の経済低迷からようやく抜け出そうとしていますが、

かつてのような経済力はなく世界での存在感は非常に低下しています

結果として相対的にアメリカの存在感が増していますが、圧倒的な力は既になく

次の世界的な秩序形成の移行期間といったことで混乱した時代がしばらく継続します

TTPの発効遅れに伴うRCEP強化とアメリカの軍事費削減に伴う活動低下の影響で

太平洋では米中の対峙線がグアムの線まで後退し日本は中国の経済勢力圏に入り

ますがかえって尖閣や南シナ海での緊張は緩和されます

その80         2016/11/14に掲載

ブードゥーエコノミーの再来

レーガン大統領は歴代アメリカ大統領で人気の高い上位にランクされています

今回のトランプと同様に政治家でない経歴を持ち、ソ連を『悪魔の帝国』と呼び、

英国のサッチャー首相とともに規制撤廃で徹底的な自由主義経済政策を採用し

国全体の景気が良くなればその波及効果で皆が豊かになるといういわゆる

『トリクルダウン効果』を期待したのです。 80年代のアメリカはベトナム戦争後の

長いスタグフレーションの時代と麻薬の広がり、若者の無気力さと国際競争力の

減少による貿易赤字、特に日本は目の敵にされワシントンの議会前で日本の家電製品

がハンマーで壊されるというパフォーマンスまであった時代です

その結果どうなったかと言えば高金利は続きましたが、景気は回復、為替も是正され

金融、IT、先端技術を中心とした経済になりました。 これがレーガン人気の秘密

でもあります。 また1989年のソ連の崩壊によって冷戦が終了し新しい時代に

入りました

それから更に20年が経過しどうなったかと言えば、所得格差の拡大と製造業の

衰退が今回選挙での民主党の伝統的な地盤であるラスティベルトでの労働組合票の

共和党へ流出となりました

レーガン、サッチャーの市場最優先政策が結局は経済の金融依存、長期開発投資

よりも短期の業績優先、衰退した企業は売却という流れとなり、結局もっとも打撃を

受けたのはトリクルダウンを期待した中堅のサラリーマンや労働者となってしまった

のです。 利益を得た高所得者層は一部で大多数の国民に恩恵はなく、その不満が

既存の政党への不信、極端な主張への賛意となりましたが、このような極端な

主張は実行できない可能性が高く、課題は克服されません

今回の大統領選挙を見ると、メキシコやイスラム諸国をスケープゴートとして

大衆人気を煽り基本的な政策が不明のまま新政権が発足するという不安があります

冷静に判断すると、今我々がやるべきことは事実を正確に把握し、感情ではなく

論理的に判断できるような思考訓練ではないでしょうか

『急がば回れ』の教訓は今でも、いや今だからこそ必要です

その79         2016/10/31に掲載

英国風自由の概念

はるか昔になりますが、学生時代にロンドン大学の寮に2週間ほど滞在した経験が

あります。 まだ石炭を暖房用に焚いている時代で霧が出るとシャツの首筋が

真っ黒になるような時代でした。 その霧も空中の粉塵が原因で発生するとのこと

でしたが、最近では“霧のロンドン”も聞かなくなりました

さて、この時二つの象徴的な看板に出くわしましたのでご紹介します

一つは寮の入り口に貼ってあるもので

『門限は◯◯時、その後は扉は開きません。 ロンドンの夜は寒くて歩道は硬い』

もう一つはテームズ川にあるプールの脇にあるものです

『川では泳げません、泳ぐ場合は自己責任で』

泳げませんと書いてあるのに、川の一画がロープで仕切られプールのようになって

います

ここに共通しているのは原則は曲げませんという強い意志と同時に、自己責任で

行動することには干渉しませんし、助けもしませんという発想です

日本ではこのような看板があっても事故が起きれば管理者責任が追及され、マスコミ

は問題だと騒ぎ立てますが自由意志と自己責任について意見を戦わせることも

ありません

以前、中東の戦闘地域で人質になったジャーナリストについて自己責任と言っても

結局迷惑をかけているし、救助の活動はせざるを得ないのではないかというような

報道があったような気がします

振り返って寮の門限に遅れ、道端で寝たために病気になったらどんなっことが

起きるのでしょうか。 残念ながら実例は知りませんが現地の人に聞けば、やはり

援助の手は差し伸べる、しかしそれ相応の費用を請求するというのが一般的な

解答のようです

ビジネス上の行動でもこれが基本になっています

組織に属していても常に個人としての判断が求められ、間違えれば責任を取るし

取らされる、そこには会社のためにやりましたとか、組織全体の雰囲気でやらざるを

得ませんでしたという発想はありません

これからますます海外とのビジネス機会が増え、また外国からの訪日客が街に

溢れるようになると日本にいても発想の転換が求められるようになるのではない

でしょうか

その78         2016/10/24に掲載

液体ミルクと企業マインド

ビンからそのまま飲める液体ミルクがようやく解禁される動きが出てきました

海外では以前から普及していましたが、日本では安全基準がないと言うことで

販売されていませんでした。 それが熊本地震の際にフィンランド大使館からの

救援物資として配布され、被災地で重宝されたことがきっかけで政府もようやく

重い腰をあげたと言うことです

しかし、この話はずいぶん前から消費者から要望されていたものの、出生数の

減少による市場規模の縮小をにらみ、国内企業が生産に及び腰だったことも販売

されない原因の一つとのことです

問題点は二つあります

第一は国内企業が横並び意識で市場規模のそれほど大きくない商品の開発に

消極的で新しいマーケットを開拓しようとする意欲が薄いこと

第二は輸入すればすぐにでも商品が投入できるので政府は国内企業のみを考えすに

政策を進めるべきであること

市場主義経済といいながら、国が市場をコントロールしようとし、企業もリスクを

取らず保護された市場でのみ活動していることで、結局は国際的な競争力の欠如を

招いてしまいます

経済の活力がないのは、人口減少でも、高齢化社会を迎えたからでも、円高の

ためでもなく起業家精神が衰えていることが原因です

50年も前から粉ミルク、煮沸消毒の哺乳ビン、適温のお湯と言う技術革新のない

世界にやっと動きが出てきましたが、これも国が政策として主導すると言うのは

企業としてはみっともない話です

失敗無いところに成功無し、冒険無いところに失敗無し

その77         2016/10/17に掲載

常識に棹差す

長い間同じことをやっているとあたかもそれが正しいことのように思われてしまうことが

あります。 同じように多くの人が良いと言うものは本当に良いものだと思って

しまうことがあります

時代の流れの中でこのような常識が変化することもあります。 “魔女がいた”と言うことも

今ではおとぎ話のようですが、中世の常識では実在していました。 ただし、今漫画に

出てくるような魔女ではなく、異なる宗教や予知能力の高い人、また中世的集団規律から

外れるような人を魔女と呼んだのかもしれません。 厳しい生活環境の中から生まれた

生活の知恵だったのかもしれません

時代が下って冷静に見直してみると、必ずしも正しいことではないことも沢山あるの

で常に見直しの姿勢が大切です

ここで障害になるのことは意外にも常識です

常識にとらわれると時代の流れに取り残されてしまうこともありますし、逆に

“知に働けば角が立つ、情に棹させば流される”と言う言葉があるように常識に

逆らうのは難しいものです

前に新卒の採用を担当していた時に、面接回数を減らしたことがあります。 特に

役員や本部長、部長クラスの面接を減らし実務に携わる課長クラスに実権を委ね

ました。 面接回数や面接人数が増えると常識的な人、つまり平均値の人しか採用

できなくなってしまうからです。 少しでも角がある人(知に働けば)は誰かが

反対する可能性が高く、一人でも反対すると(情に棹させば)不採用になってしま

うからです

身の回りでも、日本郵政の金融事業は実質的に銀行業務であるのに特別扱いを受けて

います。 また農協による独占事業は独禁法の適用を受けていません

いずれも常識になっているので疑問を持たないのですが、冷静に考えるとおかしいですね

その76         2016/10/10に掲載

TV5

我が家のケーブルTVではフランス語放送(TV5 Monde)が見えるのですが、先日

たまたま見た映画は目の不自由な夫妻の話でした。 妻は先天的、夫は何年か前に

事故で視力を失ったのですが、手術をすれば回復の望みがあるとのことで悩んだ末

手術を受け成功しました

その結果、ものの見える生活が戻り、逆にこれがきっかけで夫婦仲に微妙なズレが

生じ破滅に向かう一歩手前で夫が気付き、術後の治療をやめて再び目が見えない

生活に戻ろうとした直前で夫婦間の信頼が回復し幸せになるというストーリー

ですが、ここで取り上げたいのは、映画に出てくる様々な機器類と子供達と両親

との接しかた、周囲の人の接しかたについてです

一言で言うと、日本では“不自由で気の毒”が前提になっていますが、この映画の中

では“不便なところはあるが普通の人”として生きているという決定的な差が感じ

られます。 実際にストーリーの設定では妻はジャズピアニスト、夫は天文学者で

新しい惑星を発見しています。 複雑な天文学の数式も口述筆記で計算しています

ので不便なところを補えば、他は同等ということが徹底されています

そこで不便さを補う機器がいろいろ登場していましたが、技術的には日本企業でも

簡単にできるような商品で、例えば音で時間を知らせる腕時計、ボタンが大きく

触れば番号がわかる卓上電話機、音声認識機能つき携帯電話等。 幾つかの機能は

一般的になっていますが、不自由さを解消するように工夫した機器があるという

ことで、日本とは商品開発の意図が全く異なることに気づきました。 誰でも

普通に暮らすことができるようになることを前提に不便さを補う機能を付加する

という発想は日本ではないように思います

個人的な体験ですが年寄りに補聴器を買うことになり、調べてみると高級機種は

全て外国製。 パンフレットを見るとここでも普通に勤め、遊び、生活することを

目的に商品企画されているので、耳が遠くなった年寄り向けの補聴器という概念は

ありません。 値段も両耳で100万円もすることが珍しくないので個人では

買いにくいのですが、海外では保険等が適用されるのかもしれません

障害のある方に対する考え方が根本的に異なっているようで、自立して生活する

ためには何をすれば良いのかという疑問から出発しています。 そうすれば障害の

ない人と全く対等に生活できるということが根本にあるようで、保護しよう、介助

しようという発想ではない力強さが感じられます

Liberté, Egalité, Fraternité が今も正しく伝承されているように感じます

その75         2016/10/3に掲載

ハンコは3つ

豊洲の地下空有の問題や東京オリンピックの開催費用の高騰ということについて、

誰が、いつ、どうやって決めたのかということが話題になりいわゆる犯人探しが

始まっています。 この中で組織が複雑で指揮命令系統が不明確という指摘も

なされています

東京都のような巨大な行政組織でもそうですが、大企業でもよくある問題です

企業の場合は、売上や利益に対する影響によって“誰かが責任を取る”ことになり

ますが、必ずしも“真犯人”でない場合もあり、運不運が付きまといますし、改善も

なされない場合が多くあります。 いわゆる“大企業病”ということです

一方で行政組織の場合は“誰も責任を取らない”まま物事が実行されてしまいます

どちらの組織にとっても真の課題は解決されず、一定期間後にまた同じような事態

を招くことになります。 本当は何が必要なのでしょうか

一つの、そして重要なポイントはハンコの数を減らすことです。 ハンコの数を

最大3つにすれば

役員会で決めるような重要な案件=起案が部長クラスで、承認が事業部長クラス

事業部長クラスの決裁=起案が課長クラスで、承認が部長クラス

ずっと小さな案件では

起案が担当者で承認・決裁が課長の二段階ということもあります

このようにすると、第一のメリットは決裁スピードが上がること

第二のメリットは起案者が案件内容についても理解しなければならないこと

第三のメリットは事後でも責任が明確になることです

実際に詳細プランを作成する担当者と起案者が異なっていても、起案説明を

起案者にさせることで自らの意見が明確でなければ上位者の質問にも答えられません

ので、内容の理解が深まるとともに起案段階までに内容の不備が是正される

可能性が高く、しっかりとした案になるということです

豊洲の例で当てはめれば、起案段階で地下空間が存在していたかどうかも明確になり

事前の検討委員会の提言と異なるプランであれば、この段階で説明を求められ

“工事が完成してから不備が議論される”ことも無くなるわけです

民も官も無責任になりやすいハンコを並べる仕組みから脱却し、責任が明確になり

権限移譲とスピードアップが可能となるホップ・ステップ・ジャンプの三段階決裁

に早く移りましょう

その74         2016/9/26に掲載

馬に水を飲ませることはできない

諺に『馬を水飲み場に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない』

というのがありますが、今の日本経済の状況はまさにこれと似ています

少し前に水をたっぷり飲んで、お腹がダボダボだった時期は過ぎましたが、真夏から

冬場を過ぎ、ようやく春の到来が待たれる時期になった頃ですが、まださらに水を

飲むほど喉は渇いていません。 このような時に溢れるほど水の入った水飲み場に

来ても馬は水を飲みません。 今必要なのは草原を思いっきり走り回り、

エネルギーを使いのどが渇くことです

しかし、近くにあった草原は既になくなり、わずかに残ったところも柵があったり

立ち入り禁止だったり、前からいる馬たちが仲間に入れてくれませんので走り回る

ことができない状態で、お腹も空かないしのども渇きません

このような状態では、水飲み場に行っても馬は水を飲みません

よく見ると、水飲み場の水は桶から溢れて周りの地面は濡れてしまっていて

滑って足を怪我するかもしれませんし、逆にいつでも水は飲めるから今無理

しなくても大丈夫という気にもなります

大切なことは、どこに草原があり、どうやったら行けるのか、また柵を取り払い

自由に走り回れる環境を整備することです。 無理に草原に連れて行っても

水と同じように、自然と走り回るわけではありません

あくまでも環境の整備が重要で、走るのも水を飲むのも『馬の自由意志』に任せる

しかないのです

その73         2016/9/19に掲載

金利を上げよう

世界で最も高齢化するスピードの早い日本は、他国からその経験を参考にすること

ができませんので、独自のアイデアを創出する必要があります

創造性は日本の不得意と考えるのは勘違いで、為替や手形の先物という金融制度

でも歌舞伎や浮世絵のような芸術面でも多くの実例があります

世界的な低成長から抜け出す政策として金融緩和ではなく、金利を上げたら

どうなるのでしょうか

高齢化した日本では年金や貯蓄に頼った生活をしている人が沢山いますが、それらの

人々は金利が高いほど収入が増えます。 一方、住宅ローンをはじめとした借金は

少ないので高金利のマイナス面は小さくなります

人間の心理とは面白いもので、どれほど資産があっても金利が0.1%、つまり1億円

預けても10万円しか利息がない、では現金で溜め込むことになり貸金庫が現金の

重みで扉が開かなくなったというような噂も飛ぶぐらいです。 また自宅に現金を

持っているので“振り込め詐欺”に狙われます。 最近警察に聞いた話では被害総額

3,000万円なのに銀行から下ろしたのは1,000万円だけ、つまり2,000万円は自宅に

置いてあったということです

ここで金利が1%に上昇すると利息は100万円になります。 これらの人たちは

感覚的に行動することが多く、利息が付くなら消費しようと言って300万円も

使うことになるのです。 住宅ローンを払っている人も固定金利であれば当面、

影響はありませんし1%の金利では負担増もたかが知れています

こうやって全体の消費マインドが高くなれば、投資も促進されデフレから脱却

できるかもしれません

経済は心理学

景気も出生率も将来に対する夢があることが大切です

“お金は天下の回りもの”、どんなにお札があっても回らなければ役に立ちません

擦り減るぐらいにお金が回れば世の中が明るくなること疑いなし

その72         2016/9/12に掲載

現場第一主義の大切さ

IT全盛時代にビッグデータのような分析手法が加わるとどうしても机上で全ての

ことがわかるということになってしまいますが、分析手法にしても本来現実に

起きていることが基礎になっていますので、やはり現場を知る大切さはなくなり

ません

個人的な経験ですが、新入社員の時配属されていた工場である課長さんに用事があり

電話したところまず『今どこにいるの?』と聞かれましたので『自席です(課長は

3階、私は6階の事務室)』と答えたら、『ガチャ』と電話を切られてしまいました

私が戸惑っていたら近くにいた女性が『来い』ということですよと教えてくれました

面と向かって話をし、現場の状況を把握しなさいというメッセージでした

それ以来、出来る限り人と話をするときは社内でも、海外でもできるだけ出かけて

直接顔を見ながら話をするようにしています。 例え、私が上司の立場であっても

呼び出すのではなく、こちらから出かけます。 協力会社からの納入に問題がある

場合、普通は呼びつけますが百万の理由を並べられてしまうか、調べて回答します

となってしまいます。 こちらから出かければ現場の状況を見せてください、担当者

と話をさせてくださいということができます

さて、最近の景気対策ですがやはり現場を見ていないために有効な政策手段が

出てこないのだと思います。 円安・輸出増加・景気回復というストーリーは

一昔前の状況です。 長年の円高と中国・東南アジアでのインフラや技術力の向上

で為替変動を避けるために企業は海外出をし、ドルベースの企業体質になっている

ので、会計帳簿上の円安の利益は出るものの輸出価格の変動による数量増加は

ありませんし、為替の変動が激しいことは承知ですので会計帳簿上の利益を長期の

設備資金や賃金上昇につなげることはありません。 様々な規制が残りしかも縮小

している国内市場に投資することはありませんので、低金利でも国内投資は増加

しません

このように現場(企業の状況)を把握していれば異なる経済対策が必要なことは

明らかで、国内の需要をいかにして増加させるかが課題です

よく言われるように現在の国内市場は『統制経済』です。 これを真の『市場経済』

に転換することで大きな飛躍が期待されますが、同時に市場経済にはコストが

かかります。 つまり一時的な不均衡や不公平が出現するということですが、実際に

出てきた弊害をいかにして救済するかを考えるべきで、『弊害が予期されるから

規制する』という考え方は正しくありません

その71         2016/9/5に掲載

退職金とボーナスを止めれば景気回復?

最近“働き方改革”が話題になっていて、配偶者控除の廃止や、女性の活用等、様々

なことが議論されていますが残念ながら核心に触れる議論がないように思います

まず最初に考慮すべきは正規社員という“身分”意識とそれに付随する障害の除去が

あり、それらが改善されればその他の制度や仕組みは各企業の知恵と工夫で解決

されて行くものと考えられ、企業の独自性と発想に委ねるべきだと考えます

私見では、正規社員の元は明治大正期の会社制度にある“職員”に対する“社員”から

始まるのではないかと思います。 資本主義黎明期で欧米を追いかけ国力を充実

させなければならない時期に江戸時代からの丁稚、小僧、手代、番頭という序列

と待遇(身分)を継承した制度設計ではないかと思います。 離職率が高く職場

での立場も不安定な職員と管理者への道が開ける社員という立場の差が給与や処遇

の差になっているのではないでしょうか

歴史的な変遷はさておき、正規と非正規の壁を取り除くための最も大切な改革は

退職金制度とボーナスです

退職金は勤続年数が長いほど幾何級数的に支給金額が増加しますし、給与も年功で

勤続年数が長いほど多くなりますので、中途退職者へのペナルティーは大きくなり

転職阻害の一つの要因となっています。 労働市場の活性化には欠かせない部分です

ボーナスは多くの企業で支給月数の一定部分を固定分として業績に関係なく支給

していますので、言って見れば給与の後払いです。 以前は社会保険料の計算上、

ボーナスを含まない計算をしていましたので社員にとっても税率を下げる意味が

ありましたが今では年収ベースの計算になっていますので、全くの後払いです

労働基準法では給与の後払いは禁止されています

そこで、個別会社毎の退職金制度を日本版401Kのような制度を拡充し、転職しても

不利にならないようにすることで転職による不利益はなくなります

また、ボーナスは固定分を月々の給与に上乗せ支給し、一時金は利益分配金として

年収に占める割合を低くすることで、毎月の収入が増加して安定した生活を設計

することができますし、利益率を高めるインセンティブにもなります

さらに、年次休暇の完全取得を推進し、祭日を増やし混雑が集中するより平日に

休めるようにすることで観光地等での平日の稼働率を高くすることができます

稼働率が高まれば価格を安くしても総収入が増加し、観光産業が活性化します

インバウンド効果と全く同じことです

月々の収入が増加して将来に期待が持てるようになれば、自然と前向きな世論が

形成されて景気も回復すること間違いないと思います

経済は心理学、好景気は明るい気分から!

その70         2016/8/29に掲載

情に棹させば

東松山の少年殺害事件

どこの国でもこのような集団暴行事件はありますが、どうやったら防げるので

しょうか。 似たような構図としては、企業不祥事で(会社のためにやった)

と言う理由付けがよくあります

「私は貝になりたい」と言う番組の中でもありましたが、有罪判決の理由として

上官の命令であっても社会的規範かや判断してやってはいけないことであれば断る

べきである。 これに対して弁論としては、断れば自分が殺されるかもしれない

と言うことで悪いとは知りながら実行してしまったので、組織に属する以上止むを

えなかったというものです

宗教的規範の強い国では、このように正義のためには自己犠牲を払うべきである

と言う明確な考え方があり、日本人の感覚とは異なるものがあります

「個」の確立によって多数に従ってしまうという課題を克服することができると

思いますが、その道は長く辛いものになるでしょう

国際社会の中で暮らしてゆくためにも、国内のみで通用する論理は少しずつ変えて

ゆく必要があります

身近な例で言えば、食堂で4人が注文する時日本では一人目が注文したものを残りの

3人が“私も同じものを”と言うことが多いですが、海外ではそれぞれの人が自分なり

に注文するという違いを見てもわかります

どんなことにでも自分なりの考え方を明らかにすることは、とても大切なことですが

同時に表現の仕方、相手の立場を考えることも必要です

【智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかく人の

世は住みにくい】と漱石も言うように簡単ではありませんが、“大人の社会”を

目指すことで成熟した社会、ソフトパワーのある社会が実現できると考えています

その69         2016/8/22に掲載

リオ オリンピック

予想外と言っては選手に失礼ですか、今回のオリンピックは41個のメダル獲得

という良い結果で終了しました

特に、卓球やバドミントン、それにレスリングでの逆転劇は鮮やかで、今までに

ないような頑張りがあり若い選手の諦めない気持ちや強い自信が感じられました

これまではどちらかというと、最後の最後に逆転され、惜しかった、もう一歩

という活字が躍ったものですが、今回は明らかに違いました

多くの選手が海外で試合を重ねたり、しっかりした練習、そして各競技団体の

サポートと事前情報収集が良かったことが原因ではないかと思います

単に選手の精神力や練習のための練習ではなく勝つために関係者が一丸となれば

良い結果が生み出されるということを示しています

必要なことを、十分に準備すればそれなりの結果が生まれるという良い例だと

思いますので、経済や社会の変革にも同じようなプロセスで良い結果が出ることを

期待します

若手の選手が実例を示したのですから、次は国民皆が頑張る時だと思います

 

しっかりとした分析と準備をすれば結果が現れることを証明してくれた

オリンピック選手たちに“ありがとう”

その68         2016/8/15に掲載

同一労働同一賃金

やや旧聞になりますが、定年後の再雇用の条件について争った裁判で原告の運転手

が勝訴し、その理由として定年前と同じ運転の仕事をしているのに賃金を下げるのは

向こうというものでした。 この点だけ見れば賛成できるのですが、一つ大きな

見落としがあります。 それは定年前には同じ仕事をしていながら賃金が上がって

いたということです。 いわゆる昇給があったということですが、同一労働で何故

昇給したのかは問われていません

裁判官の判断の背景に年功での昇給は当然という前提があったとしか考えられ

ませんが、それであれば現行の定年制のもとでは定年後の再雇用の条件が異なっても

違法ではないと考えられます。 雇用条件が著しく変更されたのであれば、限度は

どのように考えるべきかを示すべきと考えます

このように定年制とそれまでは年功による昇給が同一労働であるかどうかという

判断とは別に決められていることへの考察がないと、ますます雇用の硬直化

つながり経済の活性化につながりません

世界で最も成功した共産主義と呼ばれる由縁であるとともに経済発展の限界も

見えてきているのです

そこで、同一労働という言葉の定義を再確認する必要があるようです

日本型の労働慣行では仕事の定義が不明確で、適宜上司から指示を受けながら

作業をするという構造になっていますので、上司がいる限り帰れないという残業にも

つながり、また評価も何が基準か不明確になるので上司のご機嫌取りのような

ことが起こります

組織の設計が明確になされ、要求される達成目標が時期とともに示されていれば

各自、自らのやり方で目標を達成することができ、その結果を確認することで

客観的な評価体系ができます。 つまり同一労働とは同一ポジションで要求される

パフォーマンスということになります

先ほどの例で言えば、運転手としての仕事が定義されていれば、年功による昇給は

必要ありません。 もちろん物価変動部分の昇給は必要です。 アメリカでも

年功による昇給という概念はなく、同じ仕事であればいつまでも同じ賃金ですが

COLA=Cost Of Living Adjustmentという物価変動による調整、定期昇給は

あります

同一労働同一賃金は賛成ですが、その前提となる“組織の設計”と“仕事の定義”が

なされる必要があり、これこそが今求められていることではないでしょうか

その67         2016/8/8に掲載

新市場開拓に解がある

28兆円という大きな数字が経済対策として打ち出されていますが、20年以上先に

完成するリニア新幹線等水増し的なものを除くといわゆる真水部分はせいぜい

数兆円、しかも財源がないため建設国債の増発という旧態依然のものばかり

これまで何度も実施して効果のないことは明白なのに、役所の発想の貧困さが

如実に現れ、政治家も独創的な提案ができないようでは景気回復、デフレ脱却は

遠い先としか考えられません

今必要なのは、市場の創造です

DARPAのコンテストから出発した自動運転技術は、産業構造を変え、運転手が

不要になるという変革をもたらすかもしれないし、ダイソンの家電は羽根のない

扇風機やサイクロン式掃除機等高価だが、オリジナリティー溢れる製品で市場を

開拓しています

前にも書いたようにアップルのiPhoneやiTunesは若者に限らず、人々の生活を

大きく変える力となりました

翻って、日本発の市場創造はどうなっているのでしょうか

一昔前の“写ルンです”や“任天堂のゲーム機”は既存の製品を自ら変革したり、異なる

産業への参入で大きく成長しました。 最近は、このような大胆な挑戦が少なくなり

市場のパイを食い合うような状態が続いています

今こそ、もう一度新しい市場を創造するという意欲と挑戦が必要で、政府の役割は

このような挑戦を手助けすること、あるいは障害を取り除くことにあります

1950年代の通産省主導の産業政策という古い考えを捨てて、政府や役所は“黒子”に

徹することが必要でしょう

新しい産業が起きれば必ずマイナスの影響を受ける人がいます。 また、一時的に

秩序が乱れることもありますが、これこそが民主主義、市場経済のコストです

コストは小さい方が良いですが、コスト以上のリターンがあれば良いわけで

高いリターンを追求する勇気が必要な時代です

その66         2016/8/1に掲載

寛容と忍耐

1960年の安保改定に伴う混乱と多数のデモ、特に有名なのが国会前デモで樺美智子

さんが亡くなった事件です。 岸内閣辞任の後を継いだのが“所得倍増計画”の

池田首相ですが、同時に“寛容と忍耐”ということもキャッチフレーズとして使い

ました。 殺伐とした社会情勢の混乱の次に“所得倍増”というニンジンを掲げ、

寛容と忍耐を説いて4年後の東京オリンピックの成功へとつながります

希望に満ちた将来とオリンピックでの日本選手の活躍、“東洋の魔女”、サッカー

予選リーグでは強豪アルゼンチンに逆転勝ち、根性のレスリングのように精神論

とともに実質的な成果があり、生活水準も向上、三種の神器と言われた消費ブーム

に沸き立ちました。 もちろん新幹線や高速道路の開通もあり、世界に追い付いて

いるという実感がありました

翻って、今はどうでしょうか?

世界中にテロが蔓延し、国際紛争も絶えません。 主義主張を声高に掲げる世界は

将来に対する希望と安心を与えてくれません。 4年後に再びオリンピックを開催

するタイミングで考えると、今こそ再び“寛容と忍耐”を説く時代ではないでしょうか

バブルの崩壊以降、一向に景気が回復しないのは政策面の課題もありますが

それ以上に気持ちの問題があると感じます。 将来に対する希望の見えない時代は

新規の投資もせず、消費も高まらず、ひたすら貯蓄をして頭を下げて、嵐を

やり過ごすのが常套手段です

会社の中でも、業績が悪くなったりトップダウンが強くなると社員は無意識に

守りの姿勢をとり、積極的な提案は出なくなります。 このような時のトップの

仕事は不安を取り除き、失敗を奨励し、指示せず褒めて雰囲気を変えることに

あります

今の政治、経済を見るとちょうど反対のことが起きていて、“笛ふけど踊らず”

という状況です

将来に対する希望と明るさが不可欠で、池田勇人の再来を願うところです

その65         2016/7/25に掲載

委員会等設置会社

最近の会社のあり方は様々で、従来通りの社内生え抜きの取締役と少数の社外取締役

というところから、委員会等設置会社で監査・指名・報酬の三点セットもあれば

指名や監査委員会のみというところまで多くの形態が見られます

バラエティーがあること自体は賛成ですが、例えば東証一部上場会社の業績を

横並びに比較しようとすると、会社の構成、採用する会計基準が多種多様で比較が

簡単にできないことがあります。 せめて一部上場の大会社については統一的な

基準を設けるようにしてもらいたいものです

その中でも社外取締役のあり方について考えてみます

社外取締役と言う言葉にはどのようなニュアンスがあるでしょうか。特別な存在、

あるいは例外的な存在と言う意味合いが日本では強くなりますが、株式会社の

成り立ちとその運営を考えると社外取締役というのは本当は普通の取締役と言う事

ではないでしょうか

欧米の会社の多くでは取締役の過半数がいわゆる社外の人で、極端な場合には

経営側の取締役は社長1人ということも珍しくありません。つまり、株式会社の方針

というのは資本家が立てるもので経営というのはあくまで一つの技術に過ぎないと

考えているからです。 ガバナンスという観点から見るとこのような考え方が妥当

だと思われます。 しかしながら自ら出資しているような場合にはこのような体制

が本当に必要なのかどうかと言うのは、革新的な経営や開発ができるかどうか

ということと含めて考えてみる必要があります

最近の新聞記事にもありましたが、いわゆるオーナー経営者のいる会社の方が

長期的な投資に基づく革新的な商品が出やすいし、経営的にも安定している、

という調査結果があります。 成功した例を見ての結論ですから、その陰には

多数の失敗例があり、本当にオーナー経営者の方が革新的なビジネス展開ができる

どうかはわかりません

日本的経営、社外取締役の功罪、会社は誰のもので、何を目的としているか等

答えは簡単ではありません。 結局、成功した会社が良い会社、良い会社に投資

した人が良い投資家ということで、“会社のかたち”に拘ってはいけないという

ことでしょう

その64         2016/7/18に掲載

複眼思考を持とう

国立西洋美術館が世界遺産に認定されました。 喜ばしいことです

しかし、新聞を見ると“7カ国17か所の一つ”とあり、さらに調べると“主たる活躍の

場であるフランスで10か所、その他6カ国で7か所であり、レコルビジエの母国

スイス、隣国のドイツ、ベルギー、さらにアメリカ大陸からアルゼンチン、アジア

から日本”の建築物が選定され、世界的な近代都市建築の基礎を築いたという評価に

なっています。 日本の報道を見ていると主として国立西洋美術館が選定されたと

いう印象ですが実態はかなり異なります

国立西洋美術館が選定されたのは事実ですが、客観的に見るとフランスが中心に

活動を行い、世界的なという枠組みの中で日本の建築物も取り上げられたという

のが流れになっているので、そのような報道をすることが事実を知らせることで

あり、何に対しても日本が中心の考え方に違和感を覚えますし、危険性も感じます

全く別の例ですが、最近のテロ事件やアメリカでの人種対立に絡み宗教や人種による

犯罪率の違いと、それによる移民排斥の動きがあります。 しかし統計を世帯収入別

にしてみたらどうなのでしょうか。 低所得者層の犯罪率が高いということに

なり、問題の本質は低所得者層に対するサポートやこれらの人々にいかにして

将来への希望を与えるかということが重要になり、これは日本でもそのまま

当てはまります

報道機関は何かにつけ“報道の自由”と“公正、公平な報道”と言いますが、さて

公正なとはなんでしょうか。 公平なとはなんでしょうか

都知事選挙の真っ最中ですがほとんどの報道機関が主要3候補のことしか報道

しません。立候補者は21人です

実質的に当選可能性のある主要候補に焦点を当ててより内容のある報道をする

ということも理解できますが、中には全員の主張を均等に報道する、あるいは

各候補の主張について評価をしたり、報道機関としての意見を述べるということが

あっても良いのではないでしょうか

公正さや公平さ権力を持つ人(この場合は報道機関)が決めることではなく

主権者である国民(この場合は都民)が選択すれば良いのです。 人気のない

報道機関は淘汰されることもあるし、継続して頑張ることもあるでしょう

事実を曲げてはいけませんが、主張はあってしかるべきで、それらの主張を

参考に我々が意見を形成すれば良いからです

NYTimesがイスレエル寄りであることは承知しています。 FTの記事はかなり

バイアスがある経済政策批判をすることも承知の上で、これらの意見を参考に

我々皆が自分の意見をまとめれば良いわけですから、そのためにも複眼的な思考の

できるような評価と意見、そして情報提供をしてもらいたいものです

その63         2016/7/11に掲載

日本は法治国家?

日本が法治国家であることに誰も疑問を抱かないでしょう

しかし、次のような事例を見ると日本は法治国家ではなく“慣習至上国家”である

ことがわかります

事例1:JAやゆうちょ銀行、簡易保険には独禁法が適用されない

   法治国家であれば当然どの組織も例外なく法律が適用されるべき

   この状態で市場経済主義とは言えなません

事例2:国会での議論の議事録が書き換えられても法治国家なのか?

   国会に限らず、議事録は“発言を漏れなく正確に帰すること”

   ナチ政権下の犯罪が明らかになったのは正確な記録があったから

   一方、日本では学徒動員の人数や氏名も不明確

事例3:“発言を取り消します”という発言。 覆水盆に返らずの諺にもあるように

   公人の発言は取り消せません。 間違えました、浅慮の上の発言でしたから

   以下のように訂正しますというのが正しい対処法。 この場合でも

   前言と訂正後の発言は両方とも記録に残さなくてはいけないのです

日本人の記録に対する曖昧さは、実業の世界でも大きな課題です

特に海外で活動する場合は大きな課題で、例えば取締役会議事録は誰がどんな

発言をしたかを正確に記録に残し、賛否も誰がどのような投票をしたかを記録する

ことが求められますが、日本では第◯号議案 承認というような記述があります

正確な記録がない社会は法治国家とは言えないので、仮に慣例至上主義としました

記録が正確でないから議論が深まらないし、責任も曖昧になる。 ご都合主義

と言っても良い状態で、このような環境では改革は生まれません

百家争鳴、そして決断、決定したら従うし禍根を残さないという環境を

作っていきたいものです

その62         2016/7/5に掲載

ソニーの復活?

久しぶりにソニーが話題になっています

しかし、本当に復活しようとしているのでしょうか、私はまだ懐疑的です

その理由はこれから何を目指していくのかということです

他の日本企業にも当てはまりますが、新しい技術や魅力ある新商品の開発だけが

これまで成功してきた理由ではなく、新市場の創造につながる商品を作ったところ

に核心があるのです

新しいカテゴリーであれば他社とのスペック競争もなく、当然価格競争もありません

特にソニーでは最初の本格的な商品であるテープレコーダーも、完成した時には

何に使うえるのかわからず、従ってどこに売れに行けば良いのかもわからない

状態でした。 しばらくしてから自分の声をもう一回聞けるということから

レコードの再生などにも利用されるようになって次第に市場が形成されてきました

トランジスタラジオは携帯型のラジオで一人一台に、トランジスタTVで持ち運び

できるTVに、ウォークマンでは音楽を公園などどこでも聞けるというように

新商品をきっかけに新しい市場を創造し、市場の成長とともに企業も発展してきた

のです

ソニーの後を追ったアップルも成功は技術の素晴らしさではなく、例えばiPhone

携帯の概念を変えたり、iTunesで音楽の聴き方を変えたところにあります

本当の復活はこのような信念を持った技術者が育ってきたら実現するでしょう

さて、大企業になると輝きを失うのは安定志向の人が集まるようになり新市場開拓

のようなリスクを取らなくなるからと考えられますので、まず採用の方針を変え

なければダメだと思います。 私自身の経験で言えば80年代に採用に従事していた

時にすでに尖った人を採用する方法を考え、例えば少人数だけは若手社員が良いと

言ったら無条件に採る、面接は3回以下(多くの人が会うと平均値しか残らない)

等を模索しましたが、その後平均点で採用された人事担当者が普通の採用方法に

してしまい、平凡な人が集まるようになったのも没落の一因ではないかと思います

経済対策も無駄な金融緩和ではなく、このような起業家精神の土壌を養うことを

目指すべきでしょう。 何度も繰り返しますが、そのために必要なのは規制撤廃、

規制緩和ではなく撤廃です

もう一つ重要なのは幼少期からのチャレンジ精神を養う教育と指導者です