“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

同一労働同一賃金

やや旧聞になりますが、定年後の再雇用の条件について争った裁判で原告の運転手

が勝訴し、その理由として定年前と同じ運転の仕事をしているのに賃金を下げるのは

向こうというものでした。 この点だけ見れば賛成できるのですが、一つ大きな

見落としがあります。 それは定年前には同じ仕事をしていながら賃金が上がって

いたということです。 いわゆる昇給があったということですが、同一労働で何故

昇給したのかは問われていません

裁判官の判断の背景に年功での昇給は当然という前提があったとしか考えられ

ませんが、それであれば現行の定年制のもとでは定年後の再雇用の条件が異なっても

違法ではないと考えられます。 雇用条件が著しく変更されたのであれば、限度は

どのように考えるべきかを示すべきと考えます

このように定年制とそれまでは年功による昇給が同一労働であるかどうかという

判断とは別に決められていることへの考察がないと、ますます雇用の硬直化

つながり経済の活性化につながりません

世界で最も成功した共産主義と呼ばれる由縁であるとともに経済発展の限界も

見えてきているのです

そこで、同一労働という言葉の定義を再確認する必要があるようです

日本型の労働慣行では仕事の定義が不明確で、適宜上司から指示を受けながら

作業をするという構造になっていますので、上司がいる限り帰れないという残業にも

つながり、また評価も何が基準か不明確になるので上司のご機嫌取りのような

ことが起こります

組織の設計が明確になされ、要求される達成目標が時期とともに示されていれば

各自、自らのやり方で目標を達成することができ、その結果を確認することで

客観的な評価体系ができます。 つまり同一労働とは同一ポジションで要求される

パフォーマンスということになります

先ほどの例で言えば、運転手としての仕事が定義されていれば、年功による昇給は

必要ありません。 もちろん物価変動部分の昇給は必要です。 アメリカでも

年功による昇給という概念はなく、同じ仕事であればいつまでも同じ賃金ですが

COLA=Cost Of Living Adjustmentという物価変動による調整、定期昇給は

あります

同一労働同一賃金は賛成ですが、その前提となる“組織の設計”と“仕事の定義”が

なされる必要があり、これこそが今求められていることではないでしょうか