英国風自由の概念
はるか昔になりますが、学生時代にロンドン大学の寮に2週間ほど滞在した経験が
あります。 まだ石炭を暖房用に焚いている時代で霧が出るとシャツの首筋が
真っ黒になるような時代でした。 その霧も空中の粉塵が原因で発生するとのこと
でしたが、最近では“霧のロンドン”も聞かなくなりました
さて、この時二つの象徴的な看板に出くわしましたのでご紹介します
一つは寮の入り口に貼ってあるもので
『門限は◯◯時、その後は扉は開きません。 ロンドンの夜は寒くて歩道は硬い』
もう一つはテームズ川にあるプールの脇にあるものです
『川では泳げません、泳ぐ場合は自己責任で』
泳げませんと書いてあるのに、川の一画がロープで仕切られプールのようになって
います
ここに共通しているのは原則は曲げませんという強い意志と同時に、自己責任で
行動することには干渉しませんし、助けもしませんという発想です
日本ではこのような看板があっても事故が起きれば管理者責任が追及され、マスコミ
は問題だと騒ぎ立てますが自由意志と自己責任について意見を戦わせることも
ありません
以前、中東の戦闘地域で人質になったジャーナリストについて自己責任と言っても
結局迷惑をかけているし、救助の活動はせざるを得ないのではないかというような
報道があったような気がします
振り返って寮の門限に遅れ、道端で寝たために病気になったらどんなっことが
起きるのでしょうか。 残念ながら実例は知りませんが現地の人に聞けば、やはり
援助の手は差し伸べる、しかしそれ相応の費用を請求するというのが一般的な
解答のようです
ビジネス上の行動でもこれが基本になっています
組織に属していても常に個人としての判断が求められ、間違えれば責任を取るし
取らされる、そこには会社のためにやりましたとか、組織全体の雰囲気でやらざるを
得ませんでしたという発想はありません
これからますます海外とのビジネス機会が増え、また外国からの訪日客が街に
溢れるようになると日本にいても発想の転換が求められるようになるのではない
でしょうか