“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

寛容と忍耐

1960年の安保改定に伴う混乱と多数のデモ、特に有名なのが国会前デモで樺美智子

さんが亡くなった事件です。 岸内閣辞任の後を継いだのが“所得倍増計画”の

池田首相ですが、同時に“寛容と忍耐”ということもキャッチフレーズとして使い

ました。 殺伐とした社会情勢の混乱の次に“所得倍増”というニンジンを掲げ、

寛容と忍耐を説いて4年後の東京オリンピックの成功へとつながります

希望に満ちた将来とオリンピックでの日本選手の活躍、“東洋の魔女”、サッカー

予選リーグでは強豪アルゼンチンに逆転勝ち、根性のレスリングのように精神論

とともに実質的な成果があり、生活水準も向上、三種の神器と言われた消費ブーム

に沸き立ちました。 もちろん新幹線や高速道路の開通もあり、世界に追い付いて

いるという実感がありました

翻って、今はどうでしょうか?

世界中にテロが蔓延し、国際紛争も絶えません。 主義主張を声高に掲げる世界は

将来に対する希望と安心を与えてくれません。 4年後に再びオリンピックを開催

するタイミングで考えると、今こそ再び“寛容と忍耐”を説く時代ではないでしょうか

バブルの崩壊以降、一向に景気が回復しないのは政策面の課題もありますが

それ以上に気持ちの問題があると感じます。 将来に対する希望の見えない時代は

新規の投資もせず、消費も高まらず、ひたすら貯蓄をして頭を下げて、嵐を

やり過ごすのが常套手段です

会社の中でも、業績が悪くなったりトップダウンが強くなると社員は無意識に

守りの姿勢をとり、積極的な提案は出なくなります。 このような時のトップの

仕事は不安を取り除き、失敗を奨励し、指示せず褒めて雰囲気を変えることに

あります

今の政治、経済を見るとちょうど反対のことが起きていて、“笛ふけど踊らず”

という状況です

将来に対する希望と明るさが不可欠で、池田勇人の再来を願うところです

委員会等設置会社

最近の会社のあり方は様々で、従来通りの社内生え抜きの取締役と少数の社外取締役

というところから、委員会等設置会社で監査・指名・報酬の三点セットもあれば

指名や監査委員会のみというところまで多くの形態が見られます

バラエティーがあること自体は賛成ですが、例えば東証一部上場会社の業績を

横並びに比較しようとすると、会社の構成、採用する会計基準が多種多様で比較が

簡単にできないことがあります。 せめて一部上場の大会社については統一的な

基準を設けるようにしてもらいたいものです

その中でも社外取締役のあり方について考えてみます

社外取締役と言う言葉にはどのようなニュアンスがあるでしょうか。特別な存在、

あるいは例外的な存在と言う意味合いが日本では強くなりますが、株式会社の

成り立ちとその運営を考えると社外取締役というのは本当は普通の取締役と言う事

ではないでしょうか

欧米の会社の多くでは取締役の過半数がいわゆる社外の人で、極端な場合には

経営側の取締役は社長1人ということも珍しくありません。つまり、株式会社の方針

というのは資本家が立てるもので経営というのはあくまで一つの技術に過ぎないと

考えているからです。 ガバナンスという観点から見るとこのような考え方が妥当

だと思われます。 しかしながら自ら出資しているような場合にはこのような体制

が本当に必要なのかどうかと言うのは、革新的な経営や開発ができるかどうか

ということと含めて考えてみる必要があります

最近の新聞記事にもありましたが、いわゆるオーナー経営者のいる会社の方が

長期的な投資に基づく革新的な商品が出やすいし、経営的にも安定している、

という調査結果があります。 成功した例を見ての結論ですから、その陰には

多数の失敗例があり、本当にオーナー経営者の方が革新的なビジネス展開ができる

どうかはわかりません

日本的経営、社外取締役の功罪、会社は誰のもので、何を目的としているか等

答えは簡単ではありません。 結局、成功した会社が良い会社、良い会社に投資

した人が良い投資家ということで、“会社のかたち”に拘ってはいけないという

ことでしょう

複眼思考を持とう

国立西洋美術館が世界遺産に認定されました。 喜ばしいことです

しかし、新聞を見ると“7カ国17か所の一つ”とあり、さらに調べると“主たる活躍の

場であるフランスで10か所、その他6カ国で7か所であり、レコルビジエの母国

スイス、隣国のドイツ、ベルギー、さらにアメリカ大陸からアルゼンチン、アジア

から日本”の建築物が選定され、世界的な近代都市建築の基礎を築いたという評価に

なっています。 日本の報道を見ていると主として国立西洋美術館が選定されたと

いう印象ですが実態はかなり異なります

国立西洋美術館が選定されたのは事実ですが、客観的に見るとフランスが中心に

活動を行い、世界的なという枠組みの中で日本の建築物も取り上げられたという

のが流れになっているので、そのような報道をすることが事実を知らせることで

あり、何に対しても日本が中心の考え方に違和感を覚えますし、危険性も感じます

全く別の例ですが、最近のテロ事件やアメリカでの人種対立に絡み宗教や人種による

犯罪率の違いと、それによる移民排斥の動きがあります。 しかし統計を世帯収入別

にしてみたらどうなのでしょうか。 低所得者層の犯罪率が高いということに

なり、問題の本質は低所得者層に対するサポートやこれらの人々にいかにして

将来への希望を与えるかということが重要になり、これは日本でもそのまま

当てはまります

報道機関は何かにつけ“報道の自由”と“公正、公平な報道”と言いますが、さて

公正なとはなんでしょうか。 公平なとはなんでしょうか

都知事選挙の真っ最中ですがほとんどの報道機関が主要3候補のことしか報道

しません。立候補者は21人です

実質的に当選可能性のある主要候補に焦点を当ててより内容のある報道をする

ということも理解できますが、中には全員の主張を均等に報道する、あるいは

各候補の主張について評価をしたり、報道機関としての意見を述べるということが

あっても良いのではないでしょうか

公正さや公平さ権力を持つ人(この場合は報道機関)が決めることではなく

主権者である国民(この場合は都民)が選択すれば良いのです。 人気のない

報道機関は淘汰されることもあるし、継続して頑張ることもあるでしょう

事実を曲げてはいけませんが、主張はあってしかるべきで、それらの主張を

参考に我々が意見を形成すれば良いからです

NYTimesがイスレエル寄りであることは承知しています。 FTの記事はかなり

バイアスがある経済政策批判をすることも承知の上で、これらの意見を参考に

我々皆が自分の意見をまとめれば良いわけですから、そのためにも複眼的な思考の

できるような評価と意見、そして情報提供をしてもらいたいものです

日本は法治国家?

日本が法治国家であることに誰も疑問を抱かないでしょう

しかし、次のような事例を見ると日本は法治国家ではなく“慣習至上国家”である

ことがわかります

事例1:JAやゆうちょ銀行、簡易保険には独禁法が適用されない

   法治国家であれば当然どの組織も例外なく法律が適用されるべき

   この状態で市場経済主義とは言えなません

事例2:国会での議論の議事録が書き換えられても法治国家なのか?

   国会に限らず、議事録は“発言を漏れなく正確に帰すること”

   ナチ政権下の犯罪が明らかになったのは正確な記録があったから

   一方、日本では学徒動員の人数や氏名も不明確

事例3:“発言を取り消します”という発言。 覆水盆に返らずの諺にもあるように

   公人の発言は取り消せません。 間違えました、浅慮の上の発言でしたから

   以下のように訂正しますというのが正しい対処法。 この場合でも

   前言と訂正後の発言は両方とも記録に残さなくてはいけないのです

日本人の記録に対する曖昧さは、実業の世界でも大きな課題です

特に海外で活動する場合は大きな課題で、例えば取締役会議事録は誰がどんな

発言をしたかを正確に記録に残し、賛否も誰がどのような投票をしたかを記録する

ことが求められますが、日本では第◯号議案 承認というような記述があります

正確な記録がない社会は法治国家とは言えないので、仮に慣例至上主義としました

記録が正確でないから議論が深まらないし、責任も曖昧になる。 ご都合主義

と言っても良い状態で、このような環境では改革は生まれません

百家争鳴、そして決断、決定したら従うし禍根を残さないという環境を

作っていきたいものです

ソニーの復活?

久しぶりにソニーが話題になっています

しかし、本当に復活しようとしているのでしょうか、私はまだ懐疑的です

その理由はこれから何を目指していくのかということです

他の日本企業にも当てはまりますが、新しい技術や魅力ある新商品の開発だけが

これまで成功してきた理由ではなく、新市場の創造につながる商品を作ったところ

に核心があるのです

新しいカテゴリーであれば他社とのスペック競争もなく、当然価格競争もありません

特にソニーでは最初の本格的な商品であるテープレコーダーも、完成した時には

何に使うえるのかわからず、従ってどこに売れに行けば良いのかもわからない

状態でした。 しばらくしてから自分の声をもう一回聞けるということから

レコードの再生などにも利用されるようになって次第に市場が形成されてきました

トランジスタラジオは携帯型のラジオで一人一台に、トランジスタTVで持ち運び

できるTVに、ウォークマンでは音楽を公園などどこでも聞けるというように

新商品をきっかけに新しい市場を創造し、市場の成長とともに企業も発展してきた

のです

ソニーの後を追ったアップルも成功は技術の素晴らしさではなく、例えばiPhone

携帯の概念を変えたり、iTunesで音楽の聴き方を変えたところにあります

本当の復活はこのような信念を持った技術者が育ってきたら実現するでしょう

さて、大企業になると輝きを失うのは安定志向の人が集まるようになり新市場開拓

のようなリスクを取らなくなるからと考えられますので、まず採用の方針を変え

なければダメだと思います。 私自身の経験で言えば80年代に採用に従事していた

時にすでに尖った人を採用する方法を考え、例えば少人数だけは若手社員が良いと

言ったら無条件に採る、面接は3回以下(多くの人が会うと平均値しか残らない)

等を模索しましたが、その後平均点で採用された人事担当者が普通の採用方法に

してしまい、平凡な人が集まるようになったのも没落の一因ではないかと思います

経済対策も無駄な金融緩和ではなく、このような起業家精神の土壌を養うことを

目指すべきでしょう。 何度も繰り返しますが、そのために必要なのは規制撤廃、

規制緩和ではなく撤廃です

もう一つ重要なのは幼少期からのチャレンジ精神を養う教育と指導者です