MBA経営が会社をダメにする?
米中の報復関税合戦が話題になっていますが、そもそも貿易では商品力そのものが
市場での力の源泉になっています
農産物と工業製品は多少異なる背景があると考えられます
すなわち、農産物はその基礎となる農地は移動不可能で工業製品のように競争条件に
よって生産場所を変更することが困難なため、土地の持つ優位性が固定されますので
ここでの議論は工業製品に限ることにします
何年も前から欧米ではMBA取得者によるプロフェッショナル経営が一般的で、その
多くが短期間の結果を求め、かつ株価や利益によって評価され莫大な報酬を得て
います
そのため、投資収益率が不安定でしかも長期に亘る研究費に対し消極的で、自社で
研究する代わりに成果を上げたベンチャー企業を買収することで研究成果を得て
いました。 R&DではなくA&D(Acquisition & Development)です
もう一つ、米国企業に特徴的なことは生産能力を需要の8割ほどしか持たないこと
で、これにより景気によらず常時フルキャパシティーで生産できるので高い効率を
維持できることです。好景気で需要が多い時は超過部分を他社、基本的に輸入に
依存することで、海外企業に参入の基礎を与えています
家電製品の絶え間ない技術革新、ガソリンの高騰による市場が急変した自動車、
その自動車に供給していた高品質の鉄鋼製品の軽量化要求等市場の急変に対し
研究を怠ると追随できなくなり結果的に小さな窓が開いていた海外企業に市場を
席巻され、自らは退場せざるを得なくなるという結果を招いてきました
プロ(?)の経営者は短期の利益を得て次の会社に移り、会社の長期的な存続には
関心がありません
結果的に国際的な競争力を失い貿易収支は赤字になります
関税やその他の人工的な手法を採用しても、競争の源泉となる企業が弱体化している
ままでは中期的には米国の消費者に負担がかかることになることになります
MBAで学ぶことを過小評価しないわけではありませんが、経営者の評価をどのように
するかがもっと重要です。 一方で日本のように社長は2期4年、3期6年と決めて
しまうような経営ではどうしても『過怠なく無事に過ごす』という消極的な経営に
なってしまいます
正解はありませんが、『評価は歴史が行なうという視点』『挑戦と決断』が必要です