“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

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今回は、予定を変更して少し東芝の業績結果報告について考えてみたいと思います。期末を過ぎた4月上旬に不適正会計処理があり500億円程度の利益修正の可能性を公表したのみならず、5月に入ってから不適正会計が図当初のインフラ関連部門での「工事進行基準」による過小見積りのみならず半導体やテレビ部門でも不正会計処理の可能性があるということでようやく本格的な第三者委員会を設置することになりました。 通常、第三者委員会の調査結果が出るまでに3ヶ月程度かかるとすると決算数字の確定が株主総会までに間に合わず、東証の上場基準に抵触するという大問題です

当然のことですが、内部統制の一環として金融商品取引法24条(J-SOX法)に基づく社内検証を行い、さらに大手監査法人が監査しているわけですから長期にわたり違法な会計処理が行われていたという事は本来的にはありえないことです。

逆に考えるとJ-SOXに対する信頼性が本当にあるのだろうか、また形骸化していたのではないかという疑問もわいてきます。実際にはどこの会社も似たような状況にあるのではないでしょうか

法律は遵守することはもちろんですけれども、その法律が持つ本来の趣旨を正しく理解し体制を整備することが重要になります。 J-SOX法については早くも多くの会社で形骸化が指摘されており、莫大な労力の割に実効性が少ないという指摘がありますが、今回のような事態を見るとどこかに問題があったことが明白です

内部統制や内部監査に関わる人は「専門的懐疑心」を持たなくてはいけませんが、基本的に社員であってマネジメントの内部にいる限り、本当に懐疑心を持ちさらにそれを主張できるかどうかというのは疑問な点もあります。 一つの解決策として内部統制プロセスにも外部の目を入れることも必要になります。 本来は、監査法人が外部の目としての役割を持つわけですが、ビジネスそのものに対する経験が少ない監査人はどうしても会社内部の情報に依存せざるを得ず、今回のような場合「専門的懐疑心」を持てなかった可能性もありますので、やはり社内の体制の構築が重要になります

会社の信用(レピュテーションリスク)、第三者委員会等のコストを考慮すると普段から外部の眼を入れておくことはコスト面から考えても重要なことです。 日本の企業はどうしても自前主義になり、社内の「暗黙のルール」にメスが入らない危険があることを承知しておくべきでしょう