“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

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今週はもう一度“正規社員”について考えてみます

先週、国会では『同一労働同一賃金法修正案』が衆議院を通過しましたが、本来の

種子を骨抜きにした法案という批判もあります。

【正規雇用か非正規かにかかわらず、同じ職務の労働者に同じ賃金を支払うことなど

を求める法案。当初、派遣労働者の待遇と、派遣を受け入れている企業の正社員の

待遇について「均等の実現を図る」としていた。しかし、「均等な待遇及び均衡のとれた待遇」とする内容に変更。業務内容だけでなく勤続年数や責任の重さなども考慮して

バランスを取る「均衡待遇」の考え方を追加し、正規・非正規間の賃金格差を容認する

余地が生まれた。さらに、1年以内の法改正や立法措置を義務づけていた部分に

ついて、「3年以内」に先延ばしした上で、法改正などをせず、厚生労働省の通達など

でも良いこととした】

厚労省によると、派遣労働者の賃金は正社員の約7割

正規雇用か非正規かということが大きな分かれ目になっていますが、正規雇用と

非正規の違いはどこにあるのでしょうか。 まず考えられるのは“雇用期間”です、

さらに“1日あたりの就労時間”があります。 正規社員の場合、雇用期間は“期間の

定めのない”契約、つまり無期雇用と言われていますが、本当でしょうか。 実際には

定年までという期間の定めはあるのです。 従って有期だが長期契約であり多くの

場合新卒採用であるということがあげらます、もっとも最近では第2新卒や中途採用

でも正規社員になる道が徐々に広がってきています

それでも、30年とか40年とかの有期雇用であることには違いありません。 例えば

アメリカでは定年がありませんので本人に働く意思があり企業も貢献を認めれば

70歳でも80歳でも働き続けることができます。もっとも、目標に対する客観的な

評価制度がありますので、雇用を維持するだけの成果を上げなければ雇用は維持

されませんし、ほとんどの人は“早期退職”をして気候温暖な地でのゆっくりとした

引退生活をすることを望んでいますので80歳まで勤務する人はほとんどいない

というのが現実です。 しかし、制度としてはあくまでも“無期雇用”なのです。

翻って日本の現状を見ると、雇用期間が長ければ、定年まで勤めれば、様々な

ベネフィットが付加されて“非正規社員”に対し優位性があります。 昇級・昇格、

退職金、手当、企業年金等々です。 企業にとって社員の確保が重要であった時代

にはこのような施策で雇用の維持を図る必要があったということですが、成長が

止まり経済合理性が追求されるようになると、年功的に賃金が上昇し“時間あたり

生産性”が年齢とともに低下すると却って重荷になってきています。 しかし労働慣行

は急には変えられないので非正規社員を増加させて非効率な部分を“薄めてしまう”

ことになって、急速に非正規社員が増加しているということでしょう。 非正規であれば

雇用調整も比較的簡単にできるのでますます増加しているのではないでしょうか

このような本質に立ち返って考えると、正規か非正規かという問題よりも、やはり

“どうやって評価しているのか、どうやって仕事の目標を決めているのか”ということ

が重要です。 企業は本質を回避して課題の解決を安易な方法でごまかしている

のではないでしょうか。 具体的な目標設定と客観的な評価があれば、正規・非正規

という“身分”の差による賃金格差をつける必要は無くなります

もっとも、生産性の低い社員に対する教育・研修・指導・勧告といった“やりたくない

プロセス”から目をそらしている限りその企業の未来は明るくならないでしょう