“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

専門家の育成が急務

グローバル化したビジネス環境の中で競争に勝ち抜くためには、日本企業も本格的
な専門家の養成を始めなければなりません。
身近なところではTVや新聞のキャスターがあります。 数十年に亘りホワイトハウス
の担当記者であったHelen Thomas、ABCニュースのBarbara Walters、CNN時代から
世界中を駆け巡り戦場からの報道も多いChristina Amanpourと言った名前が上がり
ます。 翻って日本でも彼らに匹敵する実力の持ち主はいるのでしょうが、ほとんど
の場合定期的なローテーションや昇進によって現場から離れ“出世”してゆきます

私事になりますが、町内会の防犯を担当し警察署の生活安全課との付き合いが
ありますが、町内会側の担当は10年以上のベテランが多いにもかかわらず、警察の
担当者は2年ほどでローテーションしてしまい密接な情報交換がようやくできるよう

になったのにまた一から出直しということが続いていますので、地域にあった対策が
できず10年一日同じような活動を続けることになり“改善”がありません


企業でも実施している定期的なローテーションでいわゆるゼネラリストを育てるのは
一定の意味がありますが、専門的な知識や経験の必要な職場では本当の意味での
専門職制度を発展させる必要があります。 企業活動の場がグローバルになり、
好むと好まざるとにかかわらず世界中の企業との競争に勝ち抜かなくてはならない
時代になっていますので、企業経営もそのような視点を持つことが大切です
営業、技術開発、品質管理、法務・監査等、一定の職務領域内でのローテーションで
専門性を磨くことによって高いレベルを維持することができるとともに、業務の質と
スピードの向上に役立ちます

再び私事で恐縮ですが、かつてこんな経験がありました
海外の企業の内部監査担当者が来日し、“J-SOX”について話を聞きたいということ
があり、20ページほどの説明資料を作成して面談したのですが、名刺交換で相手の
担当者が“CIA=公認内部監査人”資格を保有することが判明したので“J-SOXは
US SOXマイナス限定的対象範囲、COSOプラスIT”と伝えましたら“OK、了解”となり
たった5分で話は終わりました。 もし日本企業の担当者相手であれば資格が
あってもなくても礼儀上(多くの場合、複数人で来社し資格保有者でない方が
含まれる確率が高く、上位役職者である)時間をかけた説明が必須となります

彼我の生産性の差は明らかです

ここで重要なことの一つに専門家に対してどのような処遇をするかということがあり
ます。 開発の技術者等に対する“専門職制度”はありますが、残念ながら
“管理職も専門職”という概念はないようです。 人のマネジメントをするというのは
学校の成績が良かったり、知識があるだけではなくコミュニケーション能力や
折衝能力、適切なアドバイスができるトレーナー要素も必要ですが、ローテーションで
ゼネラリストの育成をすることは逆に各自の特徴を削り取り平均的な人材を育成する
ことになってしまいますので、結果的に尖った・創造性豊かな・改革を引っ張る人材は
育ちにくく、どうしても欠点やマイナス評価の少ない人物が昇進することになります。

このため企業の競争力が低下することになってしまいます。 世界に通用する専門家
を育てる環境の整備が望まれます