いつまでも“8+2=?”という教育で良いのか
明治の近代化以来、学校教育が始まり西欧的な教育制度が普及した結果科学技術
をはじめとして日本の近代化には多大な貢献があり、戦後の急速な回復にも寄与
したことに間違いはありません。 しかし、忘れてはならないのは江戸時代までの
教育と識字率の高さです。 これらの基礎があったからこそ近代化に成功した事実
は他の諸国と比べても明らかです
江戸時代までの教育は寺子屋であれ藩校であれ四書五経の白文素読が中心で、
寺子屋ではこれに加えて算盤を教えていました。 これらに共通するのは単なる暗記
ではなく身体に擦り込ませる教育です。 身体に染み込ませた知識を基礎に思考を
組み立てる訓練がありました。 典型的なのは禅問答で、緻密な論理思考を組み立て
あたかも西欧における哲学的思考のようなものです
翻って最近の学校教育を見ると“正解の暗記と偏差値”で、疑問や論理的思考の
訓練はほとんど無いのでは無いでしょうか
このような教育で成長した人たちがビジネスの世界に入るとどうなるのでしょうか
ビジネスの世界に正解はありません。 様々な情報から必要なものを取り出し
自分なりに整合性のある結論を見つけるという作業であって、唯一の正解を見つける
作業ではありません
冒頭の数式で言えば “◯+△=10” ということになります
正解は、“8+2”でも“4+6”でも良く、さらに“12+(−2)”とか“7/3+23/3”のように工夫
次第で“正解”は無限にあります。 学校の場で言えば最初に手を挙げた一人では
なく教室全員が正解を言えるし、知恵と工夫の出し合いとなるでしょう。 これが本来
の学校強育ではないでしょうか
このような環境で育った人がビジネスの世界でアイデアを競い合うことを望みます