“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

企業統治と家訓

コーポレートガバナンスが話題になってから久しいですが、依然として様々な企業

不祥事が起きています。 それに対して「第三者委員会」が設置され、犯人が

追求され「今後の対策」が講じられます。 “他山の石”として他社にも広がれば徐々

に企業不祥事が減っていくはずですが現実には減少していないというのが実態です

なぜでしょうか?

いわゆる近代的な経営、つまり経営指標を絶対視するような数値管理手法が広まり

株式市場での市場価値が重視されるようになって、伝統的な価値観が減少してきた

ためではないかと考えます。 江戸時代から続くような旧家では商人にも、個人にも

「家訓」と呼ばれるようなものがあることが多かったように思います。 これらは

数値というよりも「お客さんを大事に」とか「家名を傷つけないように」といった

価値観が優先されて、結果的に商売繁盛や家の興隆が得られるという考え方です

1970年代の高度成長時代あたりからこのような雰囲気が失われ始め、バブルの時に

完全に“時代遅れ”ということになってしまったのではないでしょうか。 バブルが崩壊

しても見直しには至らず精神的な放浪が今に引きずれれていると言ってしまっては

過酷でしょうか

今こそ、他国とGDPの大きさで争うのではなく、各企業が身の丈に合った行動方針を

確立し世の中に問うことができれば企業の不祥事はなくなると信じています

まさに「ソフトパワー」と呼ばれるものです

私が長く勤めていたソニーではエンジニアーの主張が絶対という頃があり、既存の

つまみがたった0.5mm大きくてもデザイン上許されなければ新規部品を作った

ものです。 当然、コストアップになりますが顧客に対する訴求力は大きく他社の

同様の商品と比較して高くても買っていただいたのです。 しかし、いわゆる

マーケッティング手法が導入され、拡販が求められデザインより価格重視ということ

で、結果的に価格競争に巻き込まれると後は坂道を転げるように普通の製品、

普通の会社になってしまいました。 その後はみなさんご存知の通りの結果です

ソニーの設立趣意書の第一は、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむ

べき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」ということで社訓ではありませんが

広く社員の間で共有されていた考え方であり、このような考えに共鳴する人に参加

してもらおうというのが採用時の最大のチェックポイントであり、成績は重要視されて

いませんでした

HPにも“HP Way”というのがあり、GEやIBMにも似たような考え方があり本当に

良い会社は規則と罰則による「外なる統制」よりも人の心の中に沁み入る精神的な

「内なる統制」がコーポレートガバナンスや内部統制の基本になっていたと考えます

内なる統制を充実することによって実質的でまた、日本の社会的環境にあった

仕組みが出来上がります

今こそ、それぞれの組織が自分たちに合った精神的な支柱を打ち立てる時

だと思います