ワグナーの曲は美しいか?
戦後のドイツではワグナーの曲は公式の場では演奏されません
何故か?
ヒットラーが気に入り、第三帝国の宣伝のために盛んに使われていたので、戦後は
ナチスからの決別の意味を込めて演奏されなくなったためで、決して曲として劣って
いるわけではありません
この意味するところは、『ナチスの象徴』ということからの完全なる決別です
最近、関西のある幼稚園で『教育勅語』が暗礁されていることが話題になりました
これに対して某閣僚が『教育勅語の中身には良い部分もある』という発言をして
いましたが、前述の考え方によれば全く趣旨を理解していないことになります
教育勅語の中身ではなく、戦前の一時期に全体主義体制を推進するために使われて
いたという事実が重要で、このような体制からの脱却を目指した戦後民主主義の
世界では受け入れ難いことです
つまり『ワグナーの曲は美しいか?』ということになるわけで、本質は
『ワグナーの曲は誰にどのように利用されたのか』ということですから、これに
照らせば『教育勅語の内容』に良い点かあるかどうかは論点ではないのです
全体主義体制に対する反省が見られないのは残念というより、大変危険な兆候
であり、特に海外からの視点には厳しいものがあることを認識すべきです
断っておきますが、海外とは近隣の国のみならず、欧米、東南アジアを含めた
全ての国からの『目』という認識が大切で、『李下に冠を正さず』『瓜田に履を
納れず』ということが大切です
『歴史認識』という言葉が一定の意味を持つようになってしまったために
使いたくない人たちがいるのも自体を複雑にしていますが、実際にあったことを
認識するということで、その解釈はそれぞれの人が持てば良いと思います
同時に、他国からどのように見られているかということも大切で、認識を共有する
ことから始まり、次の時代を築くべきでしょう
因みに、ドイツでは今でもユダヤ人に対する謝罪を継続していますし、アメリカでは
毎年12月7日には“トラトラトラ”がテレビ放送されています