ガバナンス、民主主義、多数決
三題噺のようになりますが、少し詳しく内容を分析してみましょう
組織内で物事を決定する場合、特に重要な案件であればあるほど賛否が僅少になり
52:48程度になるのが通常で、55:45となれば圧倒的な賛成という雰囲気になります
特に日本の会社のように会長がほとんどの人事権を持つような組織ではトップの
意向が強く反映され勝ちですから、社外取締役や監査役の存在はますます重要に
なります
翻って政治の世界を見てみましょう
日本の場合、党議拘束が強くほとんどの案件で法案提出前の党内議論段階から拘束が
かかる事が珍しくなく、議論が深まらない一因となっています。 前にも述べた
ようにほとんどの案件は52:48という賛否だとすると少数意見はどこに行ってしまった
のでしょうか
民主主義のルールでは多数決が無制限な議論に終止符を打ち、課題解決のために
迅速な行動を取る手段として認められています。 一つ指摘したいのは多数決は
必ずしも単純多数決ばかりではありません。 米国上院では60票ルールがあり
重要案件は51でなく60が必要ですし党議拘束はほとんどなく、各議員の意見が
投票行動に深く関わります
英国でも党議拘束する場合もありますが、多くの議案が議員の裁量に委ねられます
各議員は選挙区住民の意向を反映させないと再選されないので、選挙民の意見を
よく聴くようになります
残念ながら、日本の場合はこのような選挙民の声を汲みあげる仕組みが希薄で
議員は投票マシーンのようになって存在感が薄くなっています
例えば、参議院では党議拘束を禁止し、各議員が自らの判断で投票するようになると
参議院の存在価値も出てくるのではないでしょうか
会社でも国でも組織運営のルールによって構成員の意見集約の仕方が異なって
きますのでガバナンスルールはとても大切な事なのですが、どこまで議論が
深まっているのでしょうか