“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

国民皆保険

アメリカでのオバマケア(ACA)撤廃の動きを見ていると日本の国民保険制度

というのは非常に進んだ制度であることがわかりますが、一方で高齢化に伴う

費用負担も問題になり始めています

ちょっとした風邪でも大病院に行くようになった結果、費用がかかる上に本当に

大病院で治療が必要な患者さんに対するサービスが低下してしまっているのでは

ないかということで、大病院を受診する際の紹介状の義務付けとか、フリーアクセス

の制限や自己負担の増額という議論がなされています

その議論の中で、海外では大病院の受診はかかりつけ医の紹介状が不可欠など

受診制限があるが、日本では患者さんが自由に医療機関を受診できるフリーアクセス

が認められているのが問題だという意見があります

海外がどの国を指すのか不明ですが、イギリスではこれに似たようなことが行われて

います。ただし、受診制限ではなくかかりつけ医(GPと呼ばれる)専門医との

間の役割分担というのが正しい認識です

通常は近所にあり、病歴等のデータが揃っているGPに行き、GPでは処置が困難な

難病や手術あるいは専門的な治療が必要な場合にGPが大病院を紹介するもので

受診制限とは全く趣旨が異なります

そもそも日本ではGPのような制度が存在しないのに『紹介』ということのみ

取り出して議論することは正しい議論ではありません

ちなみにイギリスではGPについても病院での受診、治療についても全て保険で

カバーされています。一方でGPについては経験や判断の良否等によって報酬が

一律ではなく『実力主義』になっていて、医療活動の質に応じて報酬が変動する

インセンティブもあるのです

日本では他国の制度を紹介して類似の制度を作ろうとすることが多いのですが、

そもそも他国の事例をその背景や趣旨、意図を正確に理解しないで、外形的な制度

のみを持ち込むために結局うまく運用できないことがあります

制度設計は、まず何を目指しているのかという本質的なことから議論を始め、運用

や影響を十分に確かめてから作り上げないと効果がないばかりでなく、逆効果に

なることもあります

『追いつき、追い越せ』と言った発想で海外での考え方を導入することも悪くは

ありませんが、そろそろ『現状を把握し、自ら考える』ことが必要です