“明日は何を新しく始めますか?”
これができれば目標管理は間違いなく成功する

言葉の重みと覆水盆に返らずの諺

周の呂尚は仕事もせずに本ばかり読んでいたので妻に離縁されたが、その後

斉の国で顕位に上りのちに太公望と呼ばれるようになった。そこで妻は復縁を

申し出たが太公望は水の入った盆を持ってきて、水を床にこぼし、

「この水を盆の上に戻してみよ。」と言ったことが原典で取り返しのつかない

ことの例えとして使われています

翻って、最近の新聞で気になるのは『前言を取り消します』『謝罪して発言を

取り消します』等発言が多いことです

諺にもあるとおり、一度口から出た言葉は無くなりません

関連して、最近の新聞記事で天皇陛下についての座談会で次のような記事が

あり天皇陛下がどれだけ言葉に注意し、様々なことを斟酌してお言葉を

述べられているかを示したものですが、謝罪して取り消しますという態度との

落差の大きさに自己への責任感の落差を感じてしまいました

全国戦没者追悼式で冒頭の言葉、「本日、戦没者を追悼し」と言うのは

あたりまえのことなんですが、そのあとに「平和を祈念する日にあたり」と

言われているんですよ。このとき、「あれっ?『平和を祈念する日』じゃ

ないんじゃないか」と思いましたが、本当は「戦没者を追悼し平和を祈念

する日」なんですね。1982年に閣議で決まったんです。陛下は即位して最初の

追悼式からずっと「平和を祈念する日」と言われているんですよ。何度でも

同じ言葉を言って国民に伝えたいという思いがよく分かりましてね

それともう一つ「この過去の歴史をその後の時代とともに正しく理解しようと

努めることは日本人自身にとって、また日本人が世界の人々と交わっていく上

にも極めて大切なことと思います」

事実と真実の違いがあると思うんです。「事実」というのは、子供の絵日記で

5時に起きてラジオ体操をしてどうのというのが「事実」です

「真実」というのは、永井荷風が「断腸亭日乗」で「きょうは特記すべき事

無し」と書くようなことです。自分の生活パターンでいつもと同じことを繰り

返している。だからそのように書く。これが「真実」です

天皇陛下が815日のお言葉で繰り返し同じことを語っているのは、真実を

語っていることだと思うんです

一つ一つの言葉をどれだけ推敲して発言しているかという意識の差を感じます