政治は腹芸ではない
日本では腹芸ができないと政治家として大成しないと言われますが、本来政治とは
歴史・確率・決断に基づくものでなければ付託された国民の信頼を得ることが
できません
ドゴール大統領は一時間程度の演説は全て暗記、事前に報道関係に配られる原稿と
プロンプター無しで一字一句間違えずに演説したそうです
元々軍人のドゴールはシーザーの時代からの歴史書、特に軍事戦略に関した本は
ほとんど読破したばかりではなく、その内容も暗記しており大統領になってからも
世界各地で起きた事柄に対し、過去の歴史で最も似た状況を想起し、成功事例で
あればそのように、失敗事例であればその原因を探り失敗しないようにアレンジして
物事に対処したと言うことです
つまり、官僚から上がってくる案を承認するのではなく、自分の頭で考え、決断を
していたので演説も内容を全て頭に入れているので暗記をしなくても対応できた
と言うことです
腹芸というのはこれとは対照的で合理的というよりは情緒的な判断となり、他人に
とっては判断基準を窺い知ることが困難で結果的に信頼感が薄くなります
全人格的な信頼が求められることとなり、周囲からのアドバイスがしにくい状況を
作ります
翻って会社内の仕事の遂行を見ても多くの職場でこのような全人格的な従属関係が
あるようで、今回のように突然リモートオフィス環境になると的確な指示が出せなく
なり「ダメ上司」の烙印を押されてしまうことにもなりかねません
同じ農耕民族で人口の多い中国も他人を信頼するのは親類や同じ出身地のみと日本と
共通している点もありますが、統治のシステムには違いがあります
中国は歴史的に北方騎馬民族の侵略を受け、相当期間彼らに支配されていたことが
考え方の差になっているのかもしれません
経済大国から没落の瀬戸際にある日本がこれからの世界で生きてゆくためには
判断基準をもっと合理的でわかりやすいものに変えてゆく必要性がありそうです