柔らかい個人主義の誕生を読む その4
日本のスタイルについて考える
一つの鍵が最近の急激なコロナ感染者数の減少にあると考えます
様々な人が急激な減少の原因を推測していますが『中等症以下は自宅待機』
『自宅待機中に容体急変し死亡』ということが人々の行動に大きな変化を
もたらし、これまで以上に感染リスクに注意し結果的に感染者が減少したと
考えます
つまり緊急事態宣言など上からの指示でなく自ら判断し、生命の危険を回避
した結果ではないでしょうか
日本の長い歴史の中で『お上には面と向かって逆らわないが、顔色を見な
がら自分の道を行く』という態度が身についていて、そのための情報を集め
たり情報交換を行なっているというところがあります
自由や都市の自治を自ら戦って得た経験がないものの与えられた範囲では
工夫や柔軟な行動が継続していたということです
今回のオリンピックは散々でしたが個々のレベルでは参加選手たちへの
サポートや応援はきちっとできていて参加者からの評価は高かったのも
このような個人レベルでの意識や経験の高い蓄積が現れたのでしょう
前にも書きましたがいわゆる『ソフトパワー』そのものです
客観的に見ると平安時代に女性の作家がいたり、1,500年も言葉がほとんど
変化せず古典が少し勉強するだけで読めるという継続性、江戸時代でも
文盲率が世界的にみても圧倒的に低いという教育水準の高さ、サンプルから
鉄砲を作ってしまえるほどの技術水準の高さがあったのですから最近の凋落
ぶりが不思議に思えるほどです
ポルトガル人は東南アジアでも中国でも鉄砲の模倣が無かったので安心して
種子島で鉄砲を土産としたのに50年後には数千丁の鉄砲が日本中に広まるとは
夢にも思わなかったことでしょう
このような現場の力=基礎的な教養の高さを自信を持って生かし、創造性に
富んだ活動が活発になるように願ってやみません
(4回の連載を今回で終了推します)