無意識に存在する身分制度
旧聞になりますが国交省での統計数字書換え問題の調査報告書が出されました
様々な原因が書いてあり、いつもの通り再発防止策が述べられていますが
究極のところ仕事に対する熱意の欠如に根本原因があり競争の激しい民間企業
では考えられないことです
最も一部重厚長大企業での検査不備等の不祥事も原因は同根だと思います
官公庁や古い体質の重厚長大企業では入社時の学歴や成績で序列が固定化され
ローテーションルールに従ってそれぞれで決められた地位を通り、予定された
コースに従い定年を迎え、これまた決められた天下り先に行き地位に応じた
報酬が決められているというのが実態です
筆者の某官庁在籍の友人は、在職中にある事件の濡れ衣で出世コースから
外れたのですが「そんなところ辞めて転職したら?」という勧めに対し
「天下り先の順番を崩すわけにはいかない」と言って役所に残り、予定された
コースに従い何段階か下の天下り先に行きました
このような一部エリートを除くとどれほど実績や実力があっても課長補佐
止まりで、退職時に課長に昇進するということでは今回の事例のような状況で
自浄作用は考えられません
このような制度運用を変えることが本当の意味での再発防止策になるわけです
単に再発防止のみならず、組織の活性化、効率化にも影響しますので中期的に
生産性が向上することになります
もちろん改革当初は混乱もあるでしょうが改革に混乱は付きものでその
マイナスより大きなプラスがあれば良いわけです
このような状態を『無意識に存在する身分制度』と呼び、今後の日本がもう
一度活力を取り戻すための最大の課題でしょう
戦後の経済、社会の急回復は戦前の身分制度が敗戦で崩壊した戦後の混乱期に
そこから実力のある人が学歴や経験に拘らず活躍できたことが大きな原因です
身分制度はそれに守られている人々「守旧派」には心地よく、外れた人は
絶望的な疎外感で意欲を削がれていますので、今こそ『Nobless Obiige』が
求められています