JOB型雇用と退職金制度
JOB型雇用になると専門性を活かした転職、昇進も可能になるという議論が
ありますがその一方で専門性がなければチャンスがないという現実も待ち構え
ています
JOB型のメリットは確かにその通りでしょうが生涯収入の観点からみる
と退職金制度の改革も必要でしょう
特に一定程度の勤務実績がある人にとって年功的な現在の退職金制度は
転職の障害の一つです
若い頃から転職をしている人にとってはハードルは低いですが、逆に同じ会社
に長く勤めた人と比べると最終的な収入はどうなるのでしょうか
40年勤続で退職時の退職金が2、3千万円だとすると退職金の税額控除を
考慮すると転職による昇給で取り返すのは相当に高いハードルがありますし
リスクもあるので万人が挑戦できる訳ではありません
最近の報道では退職金そのものの額も減少し2千万円にもならないという
ことで平均的な住宅ローン残高にも足りない恐れがあります
一部企業では退職金の代わりに確定拠出年金制度を利用しているとのこと
ですが税制面での優遇も退職金と比較して少なく、資金運用会社もまだ少数
しかありませんので就社ではなく就職だというよりも長期雇用を前提にして
いるようにも見えます
このように制度は多面的な検討と設計が必要でJOB型雇用になれば全てが
解決というのはあまりにも短絡的な議論で単に他国で導入しているからという
だけでは日本に根付くのは難しいでしょう
最大の課題は日本という閉じられた社会の中では成功したモデルも海外との
競争が必須になった今の時代に何をしなければならないのか、また何が必要で
そのための負担を企業・社員・国や政府がどのように分担し、援助をするのか
という根本的な議論がないまま制度だけを海外から導入しようとしている危う
さがあるということです
「Baseballと野球は違うスポーツだ」と言われますが、Baseballが日本社会
に馴染むように変質したのだと思います
だとすればJOB型雇用も日本に合うように変質させれば良いのでしょう