なんでも欧米流が一番なのか?
バブルの崩壊から各企業とも3つの余剰に苦しみました。
1.余剰な設備
2.余剰人員
3.余剰な借入金
これらの中で人員については戦後の合理化運動以来と言える人員整理を実施し始め
ましたが、これまでの生産現場での人員整理と異なり、今回の特徴は技術や管理
部門でのいわゆるホワイトカラーのリストラです。 日本の企業にとって未経験の
分野のため、海外からリストラ手法が導入され“アウトプレイスメント”という言葉も
徐々に市民権を得てきました。 この時使われたのが履歴書よりも職務経歴書を
重視し“今、何をやっているのか”、“どんな技術、資格を有するのか”ということが、
“これまでの積み重ねを示す社歴”よりも優先されたのです
これらの書類の“書き方”の指導も行われ、直前の仕事から遡るという今までと逆の
書き方が広まってきました。 しかし、受け入れる会社ではこれまで通りの仕事の
やり方、人材配置をしてきたわけで、欧米流の“仕事に人をつける”という方法では
ありませんので、どこかで矛盾が起きています
そしてこのところの人材不足、特に若年層の不足という事態に直面すると新卒採用
を積極的に再開し始めました。 新卒というのは究極の先物買です。つまり、技能
経験より人物本位の採用で社内で時間をかけて育成しようということで、“人に仕事
をつける”やり方の究極です。 成功確率は必ずしも100%ではありませんが、
各企業とも新卒採用は重要なイベントとしてとても重要視しています
一方で“今の技術・経験”を直接上司が採用し、他方で人物本位の採用を
継続するというダブルスタンダードになっています。 いつ、どこでこの二つの考え方
は交わるのでしょうか
まさに企業の戦略不足ではないでしょうか
私はアメリカ駐在中に新卒採用(MBA)を行いましたが、最大の課題は採用ではなく
配置でした。 管理者は新卒を育成するという考えがなく、預かってもらうのに大変
な苦労で説得したものです。 日本企業は今、役立つ人材も欲しいが新卒も是非
ということで将来再び過剰人員を抱えるリスクを抱えているのではないでしょうか
“仕事に人を配置する”のか、“人に仕事を配分する”のかによって、処遇は異なり
ますしいわゆる終身雇用との接点を明確にする必要があります
再びリストラではあまりに悲しいことになります